>  >  > 「人間を完全に溶かす毒」の存在を徹底検証!

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【ヘルドクター・クラレのググっても出ない毒薬の手帳】
第21回 溶かす毒 前編

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画像は、Thinkstockより

 アニメやマンガに出てくる「毒」の中には、身の回りのモノをいとも簡単に溶かしたり腐らせたりする「毒」がありますが、この手の“溶かす系の物理毒性”は、単なる化学反応なので、実は「毒物学」というよりも「化学」の側面が大きいのです。当然、物理的な腐食性は人間を含め動物全般において毒なので、広義の意味では毒ですが……。

 さて今回は、そんな科学的には「毒らしくない」けれども、演出的には「極めて毒々しい」溶かす毒の話です。


●死体溶かすぜ ダ!ダ!ダ!

 というわけで、まずは「死体」を溶かして消すことができるのかどうかをみていきましょう。


■「溶かす」とは一体どういうことか?

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 最初に、死体だろうが肉体だろうが「溶かす」という定義自体が実は不明瞭であまり科学的ではありません。化学において「溶かす(溶解)」という言葉は溶かす先(溶媒)にモノ(溶質)が溶け込んでいくことや、液状になる温度(融点)まで加熱し、モノが液化することなどを言います。ちなみに仮に一定量の液体に山盛りの固体を溶かしても理論上は殆ど体積は変わりません。それが元の液体の半分くらいの分量があっても、液体の体積は溶かすものに水分が含まれてない限りほとんど変化しないのです。

 砂糖を例に考えて見ましょう。コーヒーに砂糖を溶かしても大して体積は変わりませんよね?

 砂糖などの水に溶けやすい分子を山盛り水の中に溶かしても水の体積が殆ど変化しないのは、気体に比べると液体は分子と分子の隙間が意外と大きく、流動性もあるため、形が自由に変わるわけです。そしてその分子と分子の隙間は実は真空です。我々の吸っている空気も大半が真空といえます。この真空はその名の通り、何も無い(量子論的にはディラックの海とかいろいろありますがw)わけで、その何も無い隙間に、溶けた分子は入り込みます。ゆえに、砂糖の場合は水と水の間に砂糖分子がどんどん増えていくと隙間がどんどんなくなってトロみが出てきて最終的には水飴になるわけです。


■人間を薬品で溶かすには?

・フッ酸で人間は溶けるか?

 閑話休題。化学の話はともかく、人間を薬品で溶かす……というのは、大ヒットしたアメリカのドラマ「ブレイキングバッド」でもあるシーンでした。そこでは「フッ酸」が使われていましたが、この作品はいろいろなところで正確な化学描写がある反面、一部分はあり得ないほどの嘘化学が登場します。筆者からすると、これはドラマを見て悪用されたりしないように“わざと嘘を入れる”ことでボカす製作者の意図を感じますが。

さて、「フッ酸」は確かに極めて強い酸ですが、人を跡形も無いほど溶かすにはかなり無理があります。特にカルシウムと反応してフッ化カルシウムとなり、フッ化カルシウムは蛍石という鉱物の成分でもあるくらいに極めて安定した固体です。水にもフッ酸にも溶けません(笑)体内の大量のカルシウム分と反応して蛍石の膜ができあがって溶解が止まるでしょう、徹底的に消すには、特殊な鍋で高温高圧状態にしてフッ酸で煮込み続ければ、体を構成する元素がフッ化物となって消滅するかもしれませんが現実的に不可能です。

 なにより、フッ酸は死んでいる人より生きている人に対して極めて危険な毒です。なんせ体の中のあらゆる物質と反応してフッ素化合物にしてしまいます。フッ素化合物は極めてド安定な強固な物質であるので、そうしたものが体内でミクロ結晶として大量に発生します。実際にフッ酸に触れた事故では、触れた指先が壊死し出し、切断しなくてはいけない状態になります。またその傷みも筆舌に尽くしがたいものらしく、薬品火傷の中でも凶悪な部類に入ります。

 では、塩酸や硫酸といったほかの酸ではどうでしょうか?

コメント

1:匿名2017年11月 2日 20:22 | 返信

ドクターストーンの科学監修さんじゃねえか
しかしこのページでググって出る様になったな

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