>  >  > 「死体を完全に溶かす毒」の存在を徹底検証

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【ヘルドクター・クラレのググっても出ない毒薬の手帳】
第21回 溶かす毒 後編

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前編はコチラ

 人間を完全に溶かしてしまうような毒は果たして存在するのか――? 前回は「フッ酸」で死体を溶かすよりも、「水酸化ナトリウム」などの強塩基の方が溶かすには理にかなっているという結論になりました。ではやはり“酸で死体を消す”のは不可能なのでしょうか?


●酸ってなんじゃろ

 まず、酸の強さについて少し話をしておきましょう。

 海外メディアの酸の強さというのは、主に水素イオンの濃度の高さと言えますが、科学的な意味合いでは定義にもよります。水溶液なのか、それ以外の溶媒中での話かなのか、温度はどうなどか…などなど細かい設定によって、結果が変わってくるのです。なので、ちょっと乱暴な言い方になりますが、「分子から電子を奪うパワーの強さが酸の強さ」と考えてください。

 また、「酸に溶けた」というものがどういうことを示すのかも、溶かすものによって定義が変わってきます。人間を含むタンパク質が「溶ける」という場合は、酸(ないしは塩基)によってタンパク質の加水分解が促進され、タンパク質はアミノ酸同士の繋がりですから、アミノ酸にまで分解されると、大半のアミノ酸は水溶性なので、酸性の液体には溶ける……といえます。まぁ少なくとも組織がグズグズのドロドロになれば「溶けた」と表現してよいとしましょう。酸も塩基も強いものは、タンパク質を構成するアミノ酸同士の結合であるペプチド結合をゆるめて、水を入れて分解してしまうことができる……ということです。

 しかし、骨や歯などは、リン酸カルシウムの密度が極めて高いため、ものによっては強固な膜を形成して、それ以上酸や塩基が入り込みにくい状態にしてしまうため、死体を薬品処理する犯罪者は「大きくて太い骨」の処分に困るわけです。

 この「大きな骨」も溶かそうと思うと、熱エネルギーをさらに加えることが必要になります。つまり、煮込むとか、溶媒を変えるとか、そういう手段です。さらに、硫酸といった酸を越える超酸といわれるものの使用も視野に入ってきます。

 超酸というのは、硫酸よりもさらに電子奪いパワー(雑)が上位の酸のことで、有名なものは「5フッ化アンチモン」と「フルオロ硫酸」の混合液です。ろうそくに代表される炭化水素の塊をこの中に入れると、瞬間的に溶けることから「マジック酸」などと言われていますね。では、これで人間が跡形も亡く消えるかというと……何とも言えません(笑)

 それ以前に、溶ける際に大量の猛毒のフッ化水素を出す上にガラスさえも溶かしてしまうので容器にも難アリです(笑) 他の超酸もありますが、死体処理費用がおそらくウン百万円では済まない値段になる上に今度は廃液が下水管をも溶かす可能性があって、中和処理も山盛りあるため、現実的とはいえません。

コメント

1:匿名2017年5月14日 19:58 | 返信

管理人さん、いつも大変面白い記事を愛読させていただいています。
さて、人間を分解する酸(塩基)のお話ですが、濃硫酸(90%以上の硫酸)ならば人を一週間も漬け込んでおけばグズグズになります。速さが必要ならば、やはり強アルカリでしょうね。水酸化ナトリウムよりも反応が激しい水酸化カリウム(KOH)を溶解する対象物の重量の7割ほどを用意し無機質容器内(ドラム缶)でお湯と一緒に解くと水分に溶ける際に激しく発熱(反応熱)し有機物のたんぱく質を変性させ更に溶解しますが、ここで過酸化水素水(市販品は濃度40%前後)を水酸化カリウムと同量用意し1時間後くらいに混合します。すると中和熱が発生して物凄い泡が酸素、水素とともに現れ対象物の分解しにくい脂肪等もあっさり分解します。特定実験動物の死骸処理法です。今は使われていない方法ですが、この様な塩基処理法を使い最終的に中和処理で分解処理しますと骨以外短時間で処理出来て残った骨も再度塩基分解すれば何も残らないと言う訳です。以上、長々とお粗末様でした。

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