>  >  > 映画『ベースメント』の衝撃、JKリフレから超常現象まで!

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JKリフレ、ドラッグ、詐欺、ストーカー、超常現象まで! 社会派エンタメか、痛々しいトンデモ作品か? 映画『ベースメント』の衝撃の画像1
映画『ベースメント』(MARCOT)7月21日より順次公開

 うっとうしい湿気と、うだるような暑さが続いた7月初旬、映画『ベースメント』のマスコミ試写に向かった。

 アイドルグループ・仮面女子の窪田美沙がヒロインとなる家出JC役を演じ、ミス東スポ2015に選ばれたグラビアアイドル・璃乃がJKリフレ嬢役に挑戦する、2017年夏休み公開のアイドル共演映画という以外、ほかにめぼしい情報のないまま試写会場へと足を運んだのだった。

 そして1時間半後、JKビジネス、危険ドラッグ、特殊詐欺、集団ストーカー、大麻解禁、刑事による不当な暴行、フライングヒューマノイドといったアナーキーな題材を、グイグイと押し出してくる自由な映像表現に妙な共感を覚えずにはいられなかった。

 この作品の監督は、『モザイクの向こう側』(双葉社)『女子高生ビジネスの内幕』(宝島社)『封印されたアダルトビデオ』(彩図社)などの著者として知られる井川楊枝。風俗業界からアウトロー社会、さらには都市伝説などのジャンルを得意とするアンダーグラウンド系のルポライターで、実話誌から写真週刊誌まで数多くのルポルタージュを発表してきた人物だ。近年では、AV出演強要問題の真相や、JKリフレ嬢の実態について精力的な取材を続けているという。また、伝聞によると、取材する側としての配慮から決して人前に顔を晒すのを好むタイプではないようだ。

 ところが、何故かこの映画の中でJKリフレや危険ドラッグ業者を直撃する、バイタリティーあふれるヒーロー然とした主人公は徹頭徹尾、明らかに井川本人をモデルとしたであろうアンダーグラウンド系のルポライター・猪俣陽一(増田俊樹)なのだ。また、それとは逆に、ヒロインであるはずの家出JC・星来(窪田美沙)や、人気JKリフレ嬢の心愛(璃乃)は、ルポライター側の視点の先にある、取材対象としてしか描かれはしない。

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映画『ベースメント』(MARCOT)7月21日より順次公開

 同業者としての直感から、もしや、とてつもない妄想から何かしらの空気が入ってしまい、井川本人が自身を一大プロモーションする目的で自己資金を投入した、ナルシズムに満ちあふれた恐るべき自己陶酔映画の類いを観せられたのではないかとの不安が脳裏をよぎっていった。

 そんな矢先、それらの疑念は呆気なく氷解した。マスコミ試写の数日後、取材に応じた『ベースメント』の企画者・増田俊樹から明確な回答を得たからにほかならない。

 質問への回答は到ってシンプルだった。曰く、井川本人は決して自らの体験を誇張したり、人前で自慢話を吹聴するような人間ではないのだが、井川の手掛けた小説版『ベースメント』(TO文庫)は、マスコミ就活中の女子大生・麻生綾香の女性目線で構成されているため、敢えてディテクティブストーリーの要素を上書きして、フィリップ・マーロウ的な男臭いモノローグを随所に配置し、原作小説の世界観を男性目線に反転させたのだと語ってくれた。

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映画『ベースメント』(MARCOT)7月21日より順次公開

 井川が執筆したシノプシスには、大麻解禁を乱暴に訴えるアウトローから、フライングヒューマノイドの目撃談をしつこく売り込む粘着男のエピソードまで、門外不出の裏話が散りばめられており、その衝撃度に唸らされはしたものの、核となるルポライターのリアリティーや生活感がどうにも希薄なストーリー構成だったという。「井川さん、恥ずかしがってちゃダメだよ。もっと自分をさらけ出さないと」そんなアドバイスを重ねるも、書き手の実相は伏せたまま、敢えて黒子に徹するべきとの井川の持論は頑なで、それぞれの主張は平行線を辿っていったという。そこで、伝説のルポライター・竹中労や、ニュージャーナリズムの旗手・沢木耕太郎のように、取材対象者との距離感や、感情の齟齬までをあからさまに表現する作風がもたらす強固なインパクトや、ドキュメンタリー映画監督・森達也の追及が、取材対象者の心の闇に奥深く突き刺さった瞬間の迫力を粘り強く説得。その結果、猪俣像がドラスティックに進化していったのだという。

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