>  > 五億年の生命の記憶から人体がわかる! 解剖学者・三木成夫

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • コメント0
728download.jpg
画像は、『人体 5億年の記憶: 解剖学者・三木成夫の世界』海鳴社

 三木成夫とは何者か? 伝説の芸大講義とはどんなものだったのか? 未完に終わった三木の大著は何が書かれる予定だったのか? 

 東京芸術大学の伝説の解剖学講義で知られる三木成夫の独自の世界をその弟子・布施英利が解き明かす。前編に続き、重版出来の話題の書『人体 五億年の記憶:解剖学者・三木成夫の世界』(海鳴社)について、著者・布施英利に聞いた。


◆星も、人間も、植物も解剖学で語る

――三木の解剖学は、どういう点で従来の解剖学に比べて、ユニークなのでしょうか?

布施「医学解剖は人間だけじゃなく、動物も扱います。薬でも動物でまず試してみますから。そして、解剖学は基礎医学なので、人間を研究しなくてもいい、実際の研究対象のほとんどは動物なんです。でも、三木成夫がユニークなのは解剖学全般の研究をすべて体系化しようとしたことにあります。だから、人間や動物だけじゃなく、植物とか、星も出てきちゃう。それらをある意味で人体に集約させているわけですよ。そこに人間の胎児を扱う発生学、もっとずっと長いスパンで過去を遡る進化の視点も取り込んでいく。比較解剖学は今生きている猿や魚なんかを比べるという横の比較なのに、そこに(発生学や進化の)縦の比較も全部含めちゃうから、何かの思想のように見えちゃうわけですよ」


――そこがオカルト的ともいわれてしまう所以なんですね。

布施「さらに付け加えるなら、解剖学って、養老先生もそうですけど、変な人が結構いるんです(笑)。それも解剖一筋みたいではなく、どんどんハミ出しちゃう。三木成夫も東大医学部に入学してすぐに何を考えたのか、ヴァイオリニストになろうとしたときがあって、一年休学して、当時、ヴァイオリンで日本の最高峰といわれた江藤俊哉に師事するくらい本気だったんです。そのとき、音楽に何を求めていたのか? 宇宙の全体像を捉える、後年の三木の解剖学につながるものがあったのかもしれないですね」


――解剖学を通じて、壮大な何かを求めていたのでしょうか?

布施「いままで三木成夫のことをちゃんと解剖学者と呼んだ人はいないですよ。だからこそ、タイトルにも『解剖学者・三木成夫』と入れて、解剖学として読み解こうとしたんです。そして、私もいつもは美術批評家と名乗っていますが、『解剖学者』という肩書きを初めて使いました。そして、養老先生に帯を書いていただいて、解剖学者の三角形ですよね(笑)、この三つの名前が並んでいるのが嬉しいんです。だから、この本では、解剖学者という言葉でしかいえないことを閉じ込めました。そういう意味で、『三木成夫がやってきたことは哲学ですか?』と聞かれたら、『解剖学です!』と開き直って断言したいです」


――三木の解剖学と美術との関連はいかがでしょうか? 布施さんにとっては、解剖学は美術と強くつながっていると思います。

布施「そうですね。この本は、三木成夫の解剖学の全体像を描き出すことを目指したので、美術については全く触れていません。確かに私の場合は、三木成夫から学んだことを美術の見方に応用しています」

コメントする

お名前
コメント
画像認証
※名前は空欄でもコメントできます。
※誹謗中傷、プライバシー侵害などの違法性の高いコメントは予告なしに削除・非表示にする場合がございます。