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「進化というのは、世代交代に伴って起こる集団全体の変化全般を指す言葉です。見た目や機能の変化はもちろん、遺伝子のちょっとした変化だけでも、これは進化です。気をつけてほしいのは、その変化に対する評価は、また別の問題だということです。例えば、深海に適応して進化した生物の目が見えなくなるような、一般的に退化といわれるような現象も進化なんですよ」

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画像は「Daily Mail」より引用

 進化という言葉は、良くも悪くもかなり適当に使われているとX氏は指摘する。その一例としてX氏が挙げたのは、国民的ゲーム・ポケットモンスターだ。

「よく言われることですが、ポケモンにおける『進化』という言葉の使い方はちょっとおかしい。ポッポからピジョン、ピジョットなら『成長』だし、キャタピー、トランセル、バタフリーなら『変態』という言葉の方が合っています。生物学的には、同一個体に起こる変化は進化ではありません」

 だが、人々によく知られた言葉が別の意味を含んで変化していくことはよくある話だ。だいたい、「ピチューを成長させますか?」ならともかく、「ピカチュウを変態させますか?」と聞かれたら、いくら生物学的には正しかろうと「いいえ」を選びたくなる。

「進化を考える上で重要なのは、見た目や機能に起きた変異が『環境に有利か不利か』のみです。性的な成熟を遅らせ、妊娠する年齢を上げるような変異が環境に適しているならば、人間もそのように“進化”するでしょう」

 たしかに現代の先進国においては、10代で子どもを産む女性よりも、30~40歳代で子どもを出産できる女性の方が『環境に適応している』ように思える。若いうちから出産できるような遺伝子より、30代以降の妊娠・出産に耐えられる遺伝子の方が現代生活には適しているとも考えられる。妊娠・出産年齢が高齢化して少子化になるのもまた、人間の進化の道ということなのだろうか。

 ともかく、今回の論文は人間の進化をリアルタイムに観察することが可能であるという事実を示した。これから、一体どのような「進化」が示されるのか。研究の行方を見守りたい。

(吉井いつき)


参考:「Daily Mail」、「PLOS Biology」、「Nature」、ほか

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