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■今、最も注目したいカルチャーの国2、「ドイツ」

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ドクメンタ/ケロッピー前田撮影

ケロッピー「ロシアに継いで文化に強度があるのはドイツ。この国は、移民の受け入れにも積極的で多様な価値観を育てている。このご時世で景気もいいから、ドイツはあらゆる意味で強いよね。あと、ドイツだけじゃなく、ヨーロッパ全般に言えることだけど、一般の人たちが、物事の評価について、何がいいかを自分で決めたいという欲求が強いんですよ。ヨーロッパは歴史的に人の移動が多かったから、国籍や人種もゴチャゴチャになって暮らしているでしょ。なおさら、他人の意見に惑わされることなく、実物を見て自分の感覚で判断したいって意識につながっていますよね。たとえば、アート作品でも、それぞれの個人が自分で実物を見て、いいと思えるものを探したい。そういうところがあるから、カルチャーも盛り上がっていると思います」

――今年、ケロッピーさんはドイツの国際芸術祭ドクメンタにも取材に行ってましよね


■今、最も注目したいカルチャーの国3、「カナダ」

ケロッピー「次に面白い国を挙げるとしたらカナダかな。この国はアメリカに隣接しているが故に、それを超えられないジレンマを抱えています。よくいうのは、アメリカが兄ならカナダは弟のようなものであると。弟は兄を超えられないけど、逆に兄弟だから、すごく冷静に観察して厳しく突いてきます。そのことは、アメリカではテレビメディアが発達したけど、それに対抗して、カナダはラジオを発達させていたり。さらにカナダは黎明期のインターネットにも熱心だったんです。90年代末に身体改造の世界大会モドゥコンを開催して世界的な流行を仕掛けたBMEという身体改造ホームページもカナダのトロントを本拠地にしていたんです」

――へー、カナダは意外でした。アメリカに対するカウンターな感じなんですね。それにしても全体的に、寒そうな地域が多いですね(笑)


■今、最も注目したいカルチャーの国4、5、「オランダとスイス」

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アムステルダム/ケロッピー前田撮影

ケロッピー「そうだね。あと、オランダのアムステルダムとスイスのチューリッヒを挙げておきたいな。いまあげた都市はどこもその街自体がカウンターっぽいイメージがあるところばかりだよね」


――スイスは国際銀行のイメージだけど、選んだ理由はなんでしょうか?

ケロッピー「スイスは、かつては永世中立国を名乗ったり、ドイツとフランスに挟まれた小国でオランダにも似ているところもあるんだよね。スイスのチューリッヒは第二のアムスといわれるほどのカルチャーの重要都市ですよ」


――オランダというとドラッグのイメージが強いのですが、アート事情とも関連があるのでしょうか? 

ケロッピー「ドラッグ関連のものがパブリックにオープンになっていると、アーティストがやったからどうかより、観客側がみんなそれを知っているわけじゃない。そうなってくると、表現する側としてはやりやすいよね。だいたいドラッグにオープンな国って、表現についても自由だからさ」


■世界が注目する日本のアンダーグラウンド・カルチャーはラブドールや緊縛

――最近、ケロッピーさんが現代アートの取材をしているのは、実はカウンターなアーティストや作品にいろいろ出会えるからだっておっしゃてました。今年、ドイツの国際芸術祭ドクメンタでは、パリ人肉事件で知られる佐川一政のドキュメンタリー作品がフィーチャーされていたそうですね。日本だと、アートの文脈にのるとは思われてないようなテーマが国際的には興味を持たれたり、人々が求めたりしているところがあるんでしょうか?

ケロッピー「僕がずっと追い続けているカウンターカルチャーといわれるものが、ネット時代となって、メジャーマイナー関係なく、面白ければ、現代アートの土俵にもどんどんのぼってっていくような状況にあると思っています」


――たとえば、世界的にはどんなものが注目されているんでしょうか?

ケロッピー「タトゥーや身体改造なんかも、人間の身体を素材とするものだから、人種や国籍に関係なく、人類に共通して広く興味を持たれていますよ。あと、日本のアンダーグラウンド・カルチャーでいえば、緊縛とか。それに、ラブドールと呼ばれる等身大人形はアートに限らず、海外メディアのお気に入りですね」


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オリエント工業40周年記念展『今と昔の愛人形』展示作品《人をダメにする玩具》/ケロッピー前田撮影

――日本のラブドールって、外国人が好きそうですね。技術的に優れているし、人間そっくりだからですかね。

ケロッピー「たぶん海外の人が連想する日本人のイメージと相性がいいんじゃないかな。アダルト向けの等身大人形は、もともとはリアルドールと呼ばれて、アメリカで始まったものなんだよね。でも、日本で等身大人形が人気を得るようなったら、人間の方が人形に似ようとする傾向が出てきているんです。そんなことは日本以外じゃ、あり得ないと思いますよ」


――人間が人形に似ようとするって、どういうことなんですか?

ケロッピーオリエント工業のラブドールが素晴らしいのは、そのメイクアップのテクニックにもあると言われています。女性スタッフが顔の仕上げをするわけだけど、スッピンで出来てきたドールにメイクをするようにフィニッシュの塗装をするんです。それをちまたの若い女の子たちが真似するという現象が起こっているという。それって、人間が人形に近づこうとしているわけでしょう」


――確かにそうですね。そういうのって、日本ならではですかね?

ケロッピー「日本って、キリスト教のような宗教的タブーがないから、欧米人から見れば、カウンターな価値観を持っているんだろうね。それで言ったら、人間そっくりのアンドロイド製作で知られる石黒浩先生も、最初に自分にそっくりなロボットを作っているけど、人間は年取るからそのあと‥…」


――あーっ、石黒先生、美容整形を告白されてますよね!

ケロッピー「そうそう。それ、反則だよね(笑)。ロボットに似せて美容整形しているんだったら、みんなやっちゃうよって話でさ。そういうことをできちゃうのが日本っぽい感性だと思うんだよね(笑)」


――確かにそうかもしれないですけど(笑)


■妻が好きすぎて妻にソックリに性転換・整形をした男

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画像は、The Ballad of Genesis and Lady Jaye // Trailer/vimeoより引用


ケロッピー「美容整形でいうと、ジェネシス・P・オリッジというイギリスのミュージシャンが自分の奥さんが好きすぎて、性転換もして整形もして奥さんとそっくりになろうとしたパンドロジェニー・プロジェクトというのがあったんだよね」


――えっ、それってどういうことですか! 

ケロッピー「そのプロジェクトで面白いのが、男がいくら整形したって奥さんにただ似せようとしたら難しいんだけど、ジェネシスと奥さんは同時に整形手術を受けることで同じ顔にしたんだよね」


――確かに、いいアイデアですね、間とって(笑)。でも、そのあと離婚しちゃったりしてないんですかね。

ケロッピー「奥さん、そのあと、死んじゃったんだよ。旦那が過剰すぎたんじゃないかな。結局、旦那が奥さんとそっくりになったら、奥さんが負けちゃったんじゃないかな」


――この話、めちゃくちゃ興味深いですね。ジェネシスって、どんな音楽やっていたんですか。

ケロッピー「イギリスのパンク・ロック以降に出てきたノイズ・インダストリアルといわれるジャンルをリードしてきた人だよ。スロッビング・グリッスルってバンドで有名になって、80年代はサイキックTVをやっていたんだ。ピアスやタトゥーの実践者でもあって、90年代に世界的な身体改造ブームが起こったときには、メディアによく取り上げられていたよね」

 これ、かなり未来感が漂う話じゃないですか。早く続きを聞かせてくださいよ!
(次回に続く)

【イベント情報】

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●ケロッピー前田 & DJ TKD / カール・ドイル
「写真作品スライドショー&ライブ演奏60分!!」

12月2日(土)24:00 ~
場所:デパートメントH@東京キネマ倶楽部(鶯谷)
ケロッピー前田の新たな試み、音と写真の“クレイジートリップ”!
ケロッピー前田&カール・ドイルがデパHなどで撮影してきた写真作品400枚以上を巨大スクリーンに投影し、DJ TKDと「身体改造宣言」などをライブ演奏します。
※スライドショー&ライブは、28:00 ~ 29:00 (4:00AM ~ 5:00AM)を予定
https://ameblo.jp/department-h/

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●「オキュパイ・スクール 2017 たま革命」
‪12月3日(日)18:00 ~ ‬
BUBKA presents
出演:姫乃たま・宇田川岳夫・石丸元章・じゃぽにか・花房太一・ケロッピー前田
@白夜BSホール(豊島区高田3-10-12 白夜書房ビルB1F)
入場料(当日のみ)1500円
サポート:NPOヒューマンビーイングクラブ
http://keroppymaeda.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/index.html

■ケロッピー前田(けろっぴー・まえだ)

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1965年、東京生まれ。千葉大学工学部卒、白夜書房(コアマガジン)を経てフリーランスに。世界のアンダーグラウンドカルチャーを現場レポート、若者向けカルチャー誌『ブブカ』『バースト』『タトゥー・バースト』(ともに白夜書房/コアマガジン)などで活躍し、海外の身体改造の最前線を日本に紹介してきた。近年は、ハッカー、現代アート、陰謀論などのジャンルにおいても海外情報収集能力を駆使した執筆を展開している。著書『今を生き抜くための70年代オカルト』 (光文社新書) が話題に。
公式twitter:@keroppymaeda


The Ballad of Genesis and Lady Jaye // Trailer from Marie Losier on Vimeo.

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