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鮎沢明

 アメリカ人とイスラム教徒は、何かと因縁深い。特に、9.11同時多発テロ事件以降は、アメリカ国内でも宗教をめぐるトラブルが続出しており、市民レベルでもその対立は絶えない――。


■息子を殺された父親が殺人犯を「許す」

 そんなアメリカで、先日、強盗殺人に関与した罪で起訴されているアメリカ人、トロイ・レルフォード被告に対する判決公判が行われた。場所は、アメリカの中でも人種問題がいまだに根強い南部、ケンタッキー州だ。

 法廷には息子を殺された父親の姿もあった。頭にイスラムワッチをかぶった、正真正銘のイスラム教徒である。愛息を殺害されたら加害者を恨む気持ちが生まれるのは当然で、それは、宗教に関係なく湧き上がる、自然な気持ちだ。ところが、この父親は法廷で被告人に対して“ある言葉”を言い放ち、傍聴人をざわつかせた。その言葉とは……。

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息子を殺された父親・Sombat Jitmoudさん 画像は「Kentucky.com」より

もう許す」。……は? 誰もが耳を疑った。被害者遺族から出された、なんとも愛に満ちた、自己判決である。

 法廷内の誰もが唖然とした顔で父親を見つめた。しかし、その父親はお構いなしに、優しくこう語り続けるのだ。
ぼくが怒っているのは悪魔に対してだ。被告人に悪事に手を染めさせた、悪魔に対して怒っている。だから、被告人を責めるつもりはないのだよ

「罪を憎んで人を憎まず」という言葉は、日本では、自分を殺害しようとする相手に板垣退助が言い放ち、襲い掛かってきたイスラム教徒にガンジーが発した言葉としても知られている。どちらも歴史上の偉人たちの崇高な精神を示す例として知られているが、まさか、現代の、しかも「お前が悪い!」「いや、お前が悪い!」と自己主張を貫く訴訟社会のアメリカで、愛息の殺人犯を相手にこんな言葉を発してしまう遺族が存在したとは、驚きである。

 何度も言うが、今回の事件の組み合わせは、ただでさえ対立が激しい、アメリカ人対イスラム教徒なのだから、なお衝撃である。

 被告人は驚きのあまり「言葉が出ない」というのが精一杯。その目には、慈悲に屈した男の涙が溢れている。悪魔が愛に負けた瞬間だ。そして、父親は、さらに予想外の行動に出る。

 なんと被告人のもとに歩み寄り、抱きしめたのだ。あまりに感動的な展開にどよめく法廷。判事たちは静粛さを取り戻すために、急遽、休廷にしたほどだった。

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コメント

1:匿名2017年12月27日 07:39 | 返信

息子の無念や復讐心が遺族のみに帰属される類のものなら美談だな

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