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 カプグラ症候群(Capgras syndrome)は1923年に同症例を初めて記録・報告したフランスの精神科医、ジョセフ・カプグラ医師にちなんで名づけられた。よく知った身近な人物が、“見知らぬ他人”に入れ替わっていると感じてしまう不可解な現象を指す。この“見知らぬ他人”は宇宙人やロボットであると主張するケースもあり、またこの“見知らぬ他人”が何らかの良からぬ意図で当人を妨害したり監視したりしていると思い込むパターンもあるということだ。さらには、自分自身の“ニセモノ”が周囲にいると訴える症状もあることが報告されている。

 いったんカプグラ症候群を発症した場合、入院させるなどの措置を取らないと、場合によってはきわめて危険な事態が生じると指摘されている。2014年にはカプグラ症候群の患者が自分の母親を殺害するという殺人事件が2件起きた。また2015年にはカプグラ症候群を発症した夫が妻への度重なる暴行で逮捕されている。さらに父親がロボットであると思い込んでいたカプグラ症候群の患者が、“バッテリー”を取り出そうとして父親の頭を割るという恐ろしい事件も起こった。


■カプグラ症候群は視覚的な“不感症”か

 不可解で危険でもあるカプグラ症候群だが、もちろんかねてから発生のメカニズムを探る取り組みは行われている。

 20年前以上前の話にはなるが、インド出身の神経科学者であるヴィラヤヌル・S・ラマチャンドラン氏の研究はカプグラ症候群を含む幻肢、半側空間無視、共感覚などの奇妙な脳神経系の現象のメカニズムの解明に大きな前進をもたらした。

 ラマチャンドラン氏はカプグラ症候群の患者であるデイビッドが、両親を“見知らぬ他人”であると認識しているのは面と向かった状況のときだけで、例えば電話で話す親は本当の親だと感じていることに気づいた。したがってカプグラ症候群は主に視覚面での現象であることになる。

 こうした手がかりをもとに考えると、カプグラ症候群は視覚情報によって特定の感情を引き起こしたり、感情が動かされたりしなくなっていることで起こるのではないかとラマチャンドラン氏は仮定している。つまり視覚的な不感症ということだ。

 我々は親しい人物の姿を見かけることで、感情が動かされて皮膚の発汗状態(皮膚コンダクタンス)に変化が生じることがいくつかの実験で確認されている。そこでラマチャンドラン氏はデイビッドの皮膚の状態を計測しながら、彼に家族の写真とまったく見知らぬ人物の写真を見せたのだが、どちらの写真を見てもデイビットの皮膚には変化が生じなかった。これはつまりデイビッドは親しい人物の視覚情報から“親近感”を感じられなくなっていることになる。

 脳の中で人物の顔を知覚するのは側頭葉と考えられ、視覚情報から刺激を受け感情が生じるのは大脳辺縁系が関わっているとされることから、カプグラ症候群は脳のこれらの部分の機能不全に由来する可能性があることをラマチャンドラン氏は指摘している。

コメント

2:匿名2018年4月14日 23:41 | 返信

離人症とも誤診してそう

1:心理学士〔何某女大卒〕2018年4月14日 17:48 | 返信

この病、統合失調症や躁うつ病と誤診されていませんか?

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