伝説の吉田照美アナが「コミュ障」だった学生時代を暴露「人に会うのが怖くて被害妄想&幻聴が聴こえたことも」(インタビュー)

――大学(早稲田大学政治経済学部)に合格して、やはりめきめきと自信がついていくわけですか?

吉田 そう簡単にはいかないんだけど、でも、努力して入試に受かったというのは、やっぱり気持ちが前向きになるきっかけにはなったかなあ。早稲田のキャンパスに通うようになって、「せめて、普通の会話ができるようにならないとな」と奮起して、アナウンス同好会に入るわけです。でも、僕はアナウンサーになろうなんて考えてなくてね。

伝説の吉田照美アナが「コミュ障」だった学生時代を暴露「人に会うのが怖くて被害妄想&幻聴が聴こえたことも」(インタビュー)の画像3吉田照美氏 撮影/編集部

――早稲田のアナウンス研究会は華やかだったんですか。

吉田 当時のアナウンス研究会は今よりずっと地味だと思うんですけどね。OBに逸見政孝さんがいたり、NHKでその後相撲をやる杉山邦博さんがいたり、昔から実力派なんですけどね。ところがその頃の早稲田は、学生運動がキャンパスを席巻してて、革マル派がすごい勢いで。民青(日本民主青年同盟)も法学部にいたのかな……、とにかく内ゲバで火炎瓶が飛んだり、大学側のロックアウトによって授業や試験がなくなったりで、大変だった。そんな中で世の中が見えてない学生たちはもう、混迷しちゃうんですよね。でもね、それが僕にとってはよかったのかなと、今になると思うんですよね。同世代のみんながキャンパスの中で混迷してるから、自分に自信が持てなくて混迷してる自分もまた居場所があったというか、疎外感を感じなかったんでしょね。学生運動は全く興味がなかったですけどね。


――照美さんが学生運動に参加しなかったのは、なぜですか?

吉田 そこはね、当時のアナウンス研究会の中でも、いろんな議論があったの。「そもそもアナウンス研究会というのは、特別な社会思想を広めるためのものじゃなくて、言葉で伝えるアナウンス技術を研究する会だ――」という意見が一つ。もう一つは、「いやそうじゃなくて、社会の在り方へも目を向けて積極的に言葉で参加していくべきだ」というグループ。それと「僕たちはアナウンサーごっこをする遊びのサークルなんだから、楽しく遊べばいいんだ」というグループ。その中で、僕が1年生で入学した頃は、各学年で20人~30人が所属してたから、毎日夜になるとアナウンス研究会に所属してる100人くらいが大教室に集まって、ディベートというか討論会をずいぶんやってたんですよね。最初は聴いてるだけなんだけど、いろんな意見を聞いていくうちに自分の意見もできて、意見ができれば、それを人に伝えようと思いますよね。今にして思えば、恵まれた時間だったと思いますよね。

 僕は真面目でね。昼間は授業にちゃんと出て、アナウンス研究会もちゃんとやってたんですよね。春には運営費を稼ぐための音楽祭を開いて、秋にはその資金でサテライトスタジオを作って朗読劇をやったり番組をやったりするんだけど、そういう中で会話とかコミュニケーションというものを、そんなに怖がらなくてもいいものなんだよな――と、気づいてきたんです。

 会話が盛り上がらなかったとしても、それは自分だけの責任ではないんだからいいんだよ、と。コミュニケーションがうまく成り立たなかったからといって、自分を責めることはないんだから。それはお互いのことなんだから。いつもいつもうまく会話ができなくて当然なんだから、と。


――今の時代の中でのコミュニケーションを照美さんはどう見てますか。

吉田 今は、身近な誰かと話を交えて考えが熟成していく前に、いきなりツイッターで意見を爆発させて炎上している人たちもいますよね。ツイッターは声を出すいわゆる“お喋り”ではないけど、僕も興味深く読んでいますよ。トランプだってホワイトハウスの人事をツイッターで発表しているし、日本でも政治家たちのツイッターの言葉が注目を浴びてます。猪瀬直樹さんも舛添要一さんもツイッターをやっている。すごいことですよね。そういう中で、いろいろ考えることはあります。橋下徹さんとか、以前はフォローしてたんだけど、最近はなんだかな~。今は信用してないなあ……。

次回は、橋下徹、菅野完、上西小百合、猪瀬元知事ほか…「吉田照美の有名人・政治家SNSメッタ斬り!」こうご期待。 


■吉田照美
1951年生まれ、東京都葛飾区出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、文化放送にアナウンサーとして入社。ラジオ番組『セイ!ヤング』『吉田照美の夜はこれから てるてるワイド』などのパーソナリティ、テレビ番組『夕やけニャンニャン』、『ぴったしカン・カン』の司会などで知られる。
Twitter:@tim1134

文・取材=石丸元章

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