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カーテンで仕切られた向こうには病理標本がずらり、『渋谷残酷劇場』の展示風景より


 そして、カーテンで仕切れたなかには、病理標本をはじめとする「特に気持ちが悪いもの」を集めたという。

 およそ300年ほど前、写真がない時代には蝋で作られた病理標本が医学の世界でもてはやされ、それらは19世紀には衛生博覧会という名目で見世物的に陳列されていた時代もあった。

 一方、ロシアのサンクト・ペテルブルクは、ピョートル大帝が一代で築いたロシア帝国の首都、いまも現存する医学民族博物館クンストカメラは、いまでは貴重となった古いホルマリン漬け標本などが綺麗に残されており、現在も観覧可能。特にオランダの標本作りの名手フレデリック・ルイシュのコレクションを所蔵している。医学標本であるのに、美的な演出を欠かせないところがヨーロッパのグロテスク趣味の鑑賞ポイントだろう。

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ゾンビーナ


 会期中、毎週土曜日には、ゾンビーナによるゾンビナイト開催。ワンコイン・ゾンビメイクなどのオプションもあり。展示会場内の地獄絵巻も手伝って、インスタ映えすること間違いなし。会期中限定でギャラリー営業時間も水曜日から土曜日は営業時間が22時までとなっている。

 ネット時代となって、いまや多くが失われつつある古き良きグロテスク表現の万華鏡、ノスタルジックな悪趣味のワンダーランドで、人間の奥底に潜む恐怖と残酷の本性に思いを馳せて欲しい。
(取材・文=ケロッピー前田)

【展示情報】
ATSUKOBAROUH Night Gallery
『都築響一 presents 渋谷残酷劇場』
会期:2018年4月14日(土)~5月13日(日)
会場:アツコバルー arts drinks talk
住所:東京都渋谷区松濤1-29-1 クロスロードビル5F
開館時間:水~土 16:00~22:00、日・月 11:00~18:00
定休日:火曜日
入場料:1000円
問い合わせ:ab@l-amusee.com / 03-6427-8048
公式サイト:http://l-amusee.com/atsukobarouh/
※18歳未満入場不可
※ガチゾンビメイクの来場者にミニゾンビドリンクサービス

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都築響一のギャラリートークも見逃すな!

【都築響一によるギャラリートーク】
¥1500( 入場料 +1drink 付 )
5/11 ( 金 ) 20:00~21:00
※予約不要 ※30分前から受付開始 ※会場満員の場合は入場制限させていただきます。予めご了承ください。

【『ゾンビナイト / ZOMBIE NIGHT』】
毎週土曜日 18:00~21:00
ゾンビパフォーマンス集団ゾンビーナ在廊!
4/28(土)18:00~21:00 / 5/5(土)18:00~21:00 / 5/12(土)18:00~21:00
☆ワンコインゾンビメイク☆ゾンビくじ☆ワンコインゾンビバー

【展示概要】
生きているうちに良いことをすれば死んだあとに天国が、悪いことをすれば地獄が待っている、と古今東西の宗教は教えてくれて、そのために「こんなに楽しい天国」と「こんなに恐ろしい地獄」のイメージが、世界中の寺院や教会に溢れている。ずいぶん長いあいだ、そんな場所をめぐっ てきてわかったこと、それはどの宗教においても、天国より地獄のほうがはるかに豊かな表現にあふれているのだった。 「幸福な家庭はどれも似ているが、不幸な家庭はそれぞれに不幸なもの」という『アンナ・カレー ニナ』冒頭の名言を引くまでもなく、美しいこと、楽しいことよりも、醜いこと、悲しいこと、恐ろしいことのほうが、僕らの想像力をはるかに刺激するのはなぜだろう。エクスタシーが「小さな死」であるならば、大いなる死を前にしてどんな歓喜が待っているのか。このハイウェイ・トゥ・ヘルのロードサイドに。(都築響一)

【プロフィール】
都築響一 ( つづき・きょういち )
1956年東京生まれ。ポパイ、ブルータス誌の編集を経て、全 102 巻の現代美術 全集『アート・ランダム』( 京都書院 ) を刊行。以来現代美術、建築、写真、デ ザインなどの分野での執筆・編集活動を続けている。93 年『TOKYO STYLE』刊 行 ( 京都書院、のちちくま文庫 )。96 年刊行の『ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行』( ア スペクト、のちちくま文庫 ) で、第 23 回木村伊兵衛賞を受賞。その他『賃貸宇 宙 UNIVERSE forRENT』( ちくま文庫 )、『現代美術場外乱闘』( 洋泉社 )『珍世界 紀行ヨーロッパ編』『夜露死苦現代詩』『珍日本超老伝』( ちくま文庫 )『ROADSIDE USA 珍世界紀行アメリカ編』( アスペクト )『東京スナック飲みある記』( ミリ オン出版 )『東京右半分』( 筑摩書房 ) など著書多数。最新刊は『圏外編集者』( 朝 日出版、2015 年 )。現在、個人で有料メールマガジン『ROADSIDERS' weekly』 を毎週水曜日に配信中。

ケロッピー前田

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1965年、東京生まれ。千葉大学工学部卒、白夜書房(コアマガジン)を経てフリーランスに。世界のアンダーグラウンドカルチャーを現場レポート、若者向けカルチャー誌『ブブカ』『バースト』『タトゥー・バースト』(ともに白夜書房/コアマガジン)などで活躍し、海外の身体改造の最前線を日本に紹介してきた。近年は、ハッカー、現代アート、陰謀論などのジャンルにおいても海外情報収集能力を駆使した執筆を展開している。前田亮一『今を生き抜くための70年代オカルト』(光文社新書)が話題に。新刊『クレイジートリップ』(三才ブックス)絶賛発売中!
公式twitter:@keroppymaeda

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