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 その日の朝、ニット帽をかぶって自転車に乗った不審な人物を、近隣住民が目撃している。自転車に乗っているから脱獄犯ではないと住民は思い、やり過ごした。李が自転車で逃走しているという情報が発表されたのは、その後になってからだ。服役囚の写真は10年ごとに撮り直すのが法務省のルールで、李の手配写真は入所時のものだった。ふっくらとしていた顔が、こけた頬になり、すっかり人相も変わっていた。

 13日朝にかけて、車上荒らしが2件、金庫破り未遂が1件起きる。会社事務所のガラスが破られていた。金庫をこじ開けようとした形跡があったが、もともと現金は入っていなかった。ミネラルウォーターのペットボトルとあめ玉20粒が盗まれた。

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画像は「Thinkstock」より引用

 同日、午後4時半頃、広島市西区の路上で3人の警察官が児童の下校を見守っていた。その中の女性警察官が不審な男に声をかけた。

「李国林です。刑務所に帰る。疲れた。食べてない」

 李はそう言うと、マスクを外して顔を見せた。持っていた刃渡り9.5センチの果物ナイフを自ら差し出し、抵抗せずに確保された。逃走中に李は、国内や中国に電話していたことが捜査で明らかになった。

脱走に対して広島地裁は「国の拘禁制度を根本から揺るがし、社会に重大な不安を引き起こした」として、12年5月22日、李に懲役2年4ヶ月の判決を下した。李は脱走の動機を「中国に住む実父や養父母の安否を確認しようとしたが、手紙では時間がかかる」と語ったが、芦高源裁判長は「同情の余地はあるが、逃走は正当化できない」とした。

刑務所の不手際として、所長は辞職、13人が処分された。
(文=深笛義也)

■深笛義也(ふかぶえ・よしなり)
1959年東京生まれ。横浜市内で育つ。18歳から29歳まで革命運動に明け暮れ、30代でライターになる。書籍には『エロか?革命か?それが問題だ!』『女性死刑囚』『労働貴族』(すべて鹿砦社)がある。ほか、著書はコチラ

※日本怪事件シリーズのまとめはコチラ

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コメント

1:匿名2018年5月10日 17:59 | 返信

広島刑務所近辺に住んでる。
脱走当日の夜8時頃、刑事が「何か異常ありませんか?」と尋ねてきた。
脱走犯逮捕後の翌日にも刑事が「逃走中に色々と盗んでる模様なので何か紛失物はありませんか?」と尋ねてきた。
脱走以外に窃盗の罪も増えてアホやな~と思った事を思い出したよ。
今の広島刑務所は外壁をリニューアルして厳重化してる。

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