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情ノ奇譚

作家・川奈まり子の連載「情ノ奇譚」――恨み、妬み、嫉妬、性愛、恋慕…これまで取材した“実話怪談”の中から霊界と現世の間で渦巻く情念にまつわるエピソードを紹介する。

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画像は「Thinkstock」より引用

【五】いざり地蔵とミサばあちゃん

 今から30年前の出来事だというから、1988年(昭和63年)頃のことになる。

 広島県の内陸部、世羅郡の辺りに住んでいた月丘ミサさんは、ある日、自宅の真ん前で自動車にはねられた。

 ミサさんは当時77歳。ドスンという音が家の中まで聞こえ、家族が急いで飛び出してきてみれば、ミサ祖母ちゃんが車から5メートルも離れたところに倒れており、激しく跳ねとばされた様子が見てとれた。家人の誰もが、これでついに祖母ちゃんは死んでしまうだろうと咄嗟に思った。

 ついに、ということには理由があって、ミサさんはそれまでに、複数の死者を出した船着き場での事故、心臓発作、プロパンガス爆発などから奇跡的に生還してきていたからだ。

 しかし、いかんせん高齢。あんなに遠くまで跳ねとばされては今度こそ助かるまい。ミサさんと同居していた家族一同はそう思ったのだが、なんとミサさんは今回も命を取られることはなく、片脚を骨折するだけで済んだ。

 しかもめきめきと回復し、半年ほどで片脚をひきずりながらではあるが、杖なしで歩けるところまで治ってしまった。

 ミサさんは若い頃から仏教を深く信心しており、彼女が「ご開祖さん」と呼んでいる神通力(霊能力の仏教的解釈が「神通」)のある女性に師事したこともあった。その結果、彼女自身も神秘的な力を授かった――と本人及び家族や知人友人は信じていた。その力には、予言・予知の他、神仏の加護を与えて命を救うことも含まれた。

 誰よりもミサさん自身が神仏に護られていることをこれまで実証してきたわけだからして、この交通事故からの復活ぶりも、ある種みんなの期待どおりという面もあり、「やはりミサ祖母ちゃんは凄い」と周囲から受け容れられたのだった。

 しかもさらにミサさんの不思議な力に太鼓判を押すようなことが、この後、起きた。

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