『50フラン紙幣に描かれたサン=テグジュペリの肖像』

1944年7月31日は、フランスの小説家、詩人、そしてパイロットであるアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリが偵察飛行に出て行方不明になった日である。
『夜間飛行』『人間の土地』等、自らの飛行士体験を活かした小説で世界中に愛読者を獲得し、その人気ぶりのあまり、大戦中は敵国であるドイツ軍兵士も彼の所属する軍隊とは戦いを避けたともいわれるほどであった。アメリカに亡命後の1943年に発表した児童文学の金字塔『星の王子さま』は全世界で1億5000万部以上を売り上げ、サン=テグジュペリの新境地を開いたことでその小説家としての成功を決定づけたが、飛行士としてのサン=テグジュペリも彼の中には依然として存在していた。自ら志願して第二次世界大戦の北アフリカ戦線に赴き、最終的には命令を無視する形で偵察飛行に向かい、1944年7月31日に祖国であるフランス内陸部のグルノーブルなどの偵察中に地中海上空で行方不明となった。その死後、50フラン紙幣の肖像として選ばれた際も、飛行機とヨーロッパ・アフリカ大陸の地図、そして星の王子様というサン=テグジュペリの全てがともに描かれた。
ちなみに、1952年の7月31日にはドイツを代表する児童文学作家、『蜜蜂マーヤーの冒險』の作者として知られるワルデマル・ボンゼルスが死亡している。その意味で、7月31日は、《世界的児童文学の大家を失った日》として記憶されるべき日なのかもしれない。

(写真はWikipedia French francより。Public Domain)

7月31日の不幸

1886年
【死去】フランツ・リスト(Franz Liszt)【作曲家・ピアニスト/ハンガリー】

楽譜、鍵盤を見ない即興を重んじた天才的な演奏で"ピアノの魔術師"と呼ばれ、19世紀のドイツで、演奏中に女性を失神させるほどのアイドル的人気を博したピアニスト。作曲家としては代表曲『前奏曲』を始めとした「交響詩」を創始したことで知られ、新ドイツ派を代表する人物である。晩年は白内障、慢性気管支炎、鬱病などを患い、1886年7月31日にバイロイト音楽祭でワーグナーの楽劇『トリスタンとイゾルデ』を観劇後に慢性気道閉塞と心筋梗塞で死亡。没年74歳。

1913年
【死去】ジョン・ミルン(John Milne)【鉱山技師・地震学者・考古学者/イギリス】

リバプール出身の鉱山技師、地質学者であり、1876年工部省工学寮に教師として招聘され来日。1880年の日本地震学会設立や大森貝塚の発掘に関わるなどした後に、1886年に設立された 東京帝国大学で工学部教授として鉱山学・地質学を担当した。重要文化財に指定されている「ミルン水平振子地震計」の考案者としても知られている。イギリス帰国中の1913年7月31日にブライト病(腎臓炎の一種)で死亡。没年62歳。

1944年
【事故死】アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(Antoine Marie Jean-Baptiste Roger, comte de Saint-Exupéry)【小説家・飛行士・軍人】

1943年に発表し全世界1億5000万部以上を売り上げるベストセラーとなった児童文学の金字塔『星の王子さま』で知られる小説家であり、フランス空軍で活躍した飛行士、軍人。『夜間飛行』『人間の土地』等、自らの飛行士体験を活かした小説で世界中に愛読者を獲得し、その人気ぶりのあまり、大戦中は敵国であるドイツ軍兵士も彼の所属する軍隊とは戦いを避けたともいわれるほどであった。アメリカに亡命後にも自ら志願して第二次世界大戦の北アフリカ戦線に赴き、最終的には命令を無視する形で偵察飛行に向かい、1944年7月31日に祖国であるフランス内陸部のグルノーブルなどの偵察中に地中海上空で行方不明となった。没年44歳。

1952年
【死去】ワルデマル・ボンゼルス(Waldemar Bonsels)【小説家/ドイツ】

ドイツを代表する児童文学作家であり、日本でもアニメ化された世界的児童文学『蜜蜂マーヤーの冒險』の作者として知られる小説家。反ユダヤ主義の人物としても知られている。没年71歳。

2015年
【急死】加藤武【俳優】

早稲田大学演劇研究会を経て文学座研究所に入所士、俳優としてのキャリアをスタート。その後長らく文学座代表を務めた人物としても知られる。数々の映画作品に出演し、黒澤明、市川崑、今村昌平ら大物監督から重用され、中でも『犬神家の一族』『悪魔の手毬唄』等の金田一耕助シリーズでの「よし、わかった!」という名台詞で印象的な活躍をみせた。2015年7月31日夕方にサウナ入浴中に昏倒し死亡。没年86歳。同年10月5日に、後に文学座代表となる江守徹を発起人として劇団葬が行なわれた。

2015年
【死去】ロディ・パイパー("Rowdy" Roddy Piper)【プロレスラー・俳優/カナダ】

スコットランド系カナダ人という出自を活かしたバグパイプ、キルトスカートの出で立ちで一世を風靡し、NWA、WWF(現WWE)のメジャー団体で活躍したカナダ人プロレスラー。人気絶頂期にあった1988年にはジョン・カーペンター監督の映画『ゼイリブ』で主演を務めるなど、俳優としての活躍もみせた。俳優からプロレスに復帰して以降は晩年までWWEで活躍し、2015年7月30日、心臓発作でハリウッドの自宅で死亡。没年61歳。