孤独死を殺人・自殺と同列に扱っていいのか? 「事故物件とは何か」を大島てるが語る

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【どこからが“事故物件”なのか?】

孤独死を殺人・自殺と同列に扱っていいのか? 「事故物件とは何か」を大島てるが語るの画像1※画像:大島てる

 さて、一口に【事故物件】といっても、そもそも“どこからが事故物件なのだろうか?”と考えたことはないだろうか。この件に関して、大島てる氏よりもうまく解説できる人などいないだろう。過去の裁判の事例も重要なポイントであるのだが、事故物件サイト「大島てる」運営者ならではの判定基準も存在するのだった。

――事故物件のライン引きはどこからなんでしょうか? “たとえば家族に見守られて人が死んだ家”っていうのは事故物件じゃないですよね?

大島「それはもちろん事故物件ではありません」

――自殺や孤独死のあった部屋が事故物件だというのはわかるんですが、たとえば、家族がいる時にヘリウムガスを吸って、すぐに「あっ、死んでる!」って発見されたのは事故物件なんですか?

大島「それなら事故物件になります。自殺ですから」

――ああ、そうなんですか! でも状態的にクリーンはクリーンですよね。

大島「そうなんです。ですからホテルでの事件と同じで、自殺でダメージは少ないというケースは結構あります。殺人事件でもです。ちなみに、極端なケースだとそこで死んでさえいなくても事故物件扱いされることがあります」

――えっ、どういうことですか?

大島「たとえば、『部屋でブスッと刺されたけど、救急車で運ばれて、死んだのは病院だ』と文句を言う人がいるんです。『部屋ではまだ生きていた』と」

――そりゃそうですけどね(笑)。

大島「確かに、難しい問題ではあります。ただ、判断基準自体は非常に単純で、『買う人・借りる人・住む人が少しでも嫌がる可能性があるなら載せる』というだけのことです。そういう方針だと、人によってはどうでもいい事案、つまりノイズが『大島てる』に載っていると感じられることになるわけですが、それならサイトをそっと閉じさえすれば済むことです。誤報とは違いますから。私の方で事故物件としての掲載基準を余りに厳しく設定してしまうと、心理的な問題を一番気にする人にとってはあまり役に立たないサイトということになってしまいます」

――本当に厳格になってしまうと、確かにそうですね。

大島「ですから、『一番気にしいな人』に合わせて、その人の身になって判断するようにしています。鈍感な人からするとノイズとしか思えないような、ある意味些細な事案の事故物件も掲載されていますが、私としては『気にするか気にしないかはあなた次第』と言うしかありません。もちろん、個々のユーザーごとにさまざまな事故物件情報をソートする機能を実装できればがいいのですが、無料サイトですし、予定はありません。将来的にはあり得ますけどね。たとえば、有料のプレミアム会員になれば、クリックひとつで、殺人事件現場のアイコンだけが表示されるだとか直近3年以内のものだけが表示されるだとか。いずれにしても、一人ひとりの捉え方が異なる以上、ソートは各ユーザーごとにするしかなく、私が一律に決めることではないと考えています」

――今のハードルは下げておいて、将来的にそのような機能を付けると。

大島「ただ、今の『大島てる』の作りでも、見なかったことにすればいいだけのことですから。足りないよりは、余計なものも載っているという方がずっとましです。ところで、せっかくの機会ですから、いくつか具体的に判定していきましょうか」

――ありがとうございます。

大島「まず、あるアパートに住んでいた人がどこかよそでひどい殺され方をしたという場合ですが、この場合、このアパート自体は別に事故物件になりません。立て続けにそういうことが起きれば気にはなりますが…。次に、実家で、家族の目の前で刃物で自殺した場合、これはマル! あっ、バツって言った方がいいですね」

――どっちでもいいですよ(笑)。事故物件になるということですね。

大島「はい(笑)。そして先ほどのケースですが、この部屋で刺されて病院で亡くなった、これは事故物件になります。裁判所の判断も考慮に入れて、そうしています」

――事故物件かどうかで裁判になった時にどうかということですか?

大島「というよりも、『前の所有者がここで刺されて死んだのに、なんで何も言わずに売りつけたんだ!』というような裁判があったということです。訴えられた方は、『だって、息を引き取ったのはここじゃないし』と反論したんですが、裁判所は、ざっくり言うと『この部屋で刺されて、その結果亡くなってしまったのなら、ここで殺されたと言っても言い間違いではない』といった判断をしています」

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