マッチョすぎて超キモい「遺伝子組換えブタ」爆誕、精子が流通中! 中国人が熱視線も、ゲノム編集の安全性やリスクは未知数

 カンボジアの牧場で撮影された、異様に筋肉の発達したマッチョな豚の画像が話題になっている。しかも、その豚の精子はネット上でたった750円ほどで売買されているという。英紙「Daily Mail」や「Mirror」が相次いで報じている。

マッチョすぎて超キモい「遺伝子組換えブタ」爆誕、精子が流通中! 中国人が熱視線も、ゲノム編集の安全性やリスクは未知数の画像1画像は「Daily Mail」より引用

■ハルクのような巨大豚

 問題の豚は、カンボジアの養豚場で育てられているという。一緒に写っている通常の豚に比べて明らかに赤黒い皮膚の色をしており、素人でも一目でわかる異様に肥大化した筋肉に覆われた立派な体格をしている。その筋骨隆々とした姿は、まるでアメコミのキャラクター・超人ハルクのようだ。

マッチョすぎて超キモい「遺伝子組換えブタ」爆誕、精子が流通中! 中国人が熱視線も、ゲノム編集の安全性やリスクは未知数の画像2画像は「Daily Mail」より引用

 この豚の正体については判然としないが、ステロイドなどの薬物で筋肉量を増やしているのではなく、遺伝子異常で筋肥大を起こしているのではないかと見られている。筋肉抑制因子であるミオスタチンを作る遺伝子に変異が起こると、骨格筋が異常発達することが知られている。この現象は牛でも確認されており、たくましい筋肉を持つ巨大な牛の品種「ベルジアン・ブルー」が有名だ。

マッチョすぎて超キモい「遺伝子組換えブタ」爆誕、精子が流通中! 中国人が熱視線も、ゲノム編集の安全性やリスクは未知数の画像3ベルジアン・ブルー。画像は「Wikipedia」より引用

■出所も不明

 今回の豚は筋肥大の突然変異をもつ新品種か、あるいは筋肉量を増やすように遺伝子を改良した遺伝子組換え豚ではないかと見られている。今回のマッチョ豚たちとの関連は不明だが、2014年に中国と韓国の研究者がミオスタチンの遺伝子にゲノム編集を行い、筋肉量の多い豚を開発したと発表している。ただし発表によれば、生まれた32匹のうち健康なのはたった1匹だけで、半数以上の19匹が生後8カ月以内に死んだという。

 なお、この異様な豚の精子は、すでにネットを介して売買が行われている。「Daily Mail」の記事によれば、現地企業が人工授精用のチューブ2本を約750円ほどで販売しているという。近年はカンボジアでは中国などへ輸出する豚肉の需要が増えており、筋肉量の多いマッチョ豚は養豚農家から注目されている。

マッチョすぎて超キモい「遺伝子組換えブタ」爆誕、精子が流通中! 中国人が熱視線も、ゲノム編集の安全性やリスクは未知数の画像4画像は「Mirror」より引用

 すでに動物愛護団体「PETA」がウェブサイト上に業者を非難する記事をアップしているが、マッチョ豚は科学的にも倫理的にも多くの問題を抱えているのは確かだ。もしこの豚が遺伝子操作の賜物であるなら、当然ながら安全性やリスクなどを詳しく調査する必要がある。また、マッチョ豚は異常な筋肉により歩行困難になりやすいという欠点があり、出産も困難で帝王出産が必要になる可能性も高いと推測される。

 生まれた背景や経緯も不明な豚の精子がネット上で売買され、発展途上国の田舎でひっそりと増えている。筋肥大した豚の異様な姿に負けず劣らず、不気味な現実である。


参考:「Daily Mail」、「Mirror」、「PETA」、ほか

文=吉井いつき

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