「現実なんて実体がない、形あるものは必ず滅びることを伝えたくて」人間椅子・和嶋慎治がニューアルバムを熱く語る!(インタビュー)

「現実なんて実体がない、形あるものは必ず滅びることを伝えたくて」人間椅子・和嶋慎治がニューアルバムを熱く語る!(インタビュー)の画像1画像は、人間椅子公式HPより

 10月4日にバンド生活28年目の20枚目のニューアルバム「異次元からの咆哮」をリリースした人間椅子。ヘヴィでポップなハードロックは健在で、はやくも「噛めば噛むほど味が出るアルバム」「好きすぎて何回も聞いている」など大大大好評だ。

 そこで、前回もトカナで数々の不思議な話を語ってくれた、人間椅子メンバーの中でも大のオカルト好きとしても知られる和嶋慎治(G, Vo)に、アルバム各曲に込められた狙いから、現代日本の最新オカルト事情までうかがってみた。(聞き手:オカルト研究家の吉田悠軌)

「現実なんて実体がない、形あるものは必ず滅びることを伝えたくて」人間椅子・和嶋慎治がニューアルバムを熱く語る!(インタビュー)の画像2異次元からの咆哮 (初回限定盤)/徳間ジャパンコミュニケーションズ

――今回のアルバム制作にあたって、心がけたことはなんでしょうか?
 
和嶋氏(以下、和嶋) 前回の『怪談 そして死とエロス』というアルバムが好評で、バンドとしても手ごたえがあったので、その流れを汲んだものを作ろうと思いました。前回は「あの世」から見たこの世でしたが、今回はそれをもっと広げて「異次元」でいこう、と。

 僕は異次元というものがあると考えてるんですよ。UFOとは火星や木星など3次元の宇宙から来るのではなく、実は異次元から来るんじゃないかと思っていて。ナマハゲにしても、そこに見える実際の山から来るのではなく、別の次元の山から来るような気がするんですよね。「異次元」から見たこの世ということで、タイトルは色々悩みましたが、結局ストレートに『異次元からの咆哮』としました。


――前回のアルバム同様、さまざまな文学作品からの影響もうかがえます。

和嶋 文学作品からのオマージュも入れたいと思っていましたからね。“この世をなんとか変えたいなと思う時、正義の味方になれないなら悪魔に魂を売ってでも何かやりたい――”そんな歌を書こうとした時、夢野久作『悪魔祈禱書』をタイトルにするのがいいな、とか。現実になじめないアウトサイダーの歌をつくりたい時に、谷崎潤一郎『異端者の悲しみ』を持ってこようかな、とか。


――さすが、読書家の和嶋さんらしい。

「現実なんて実体がない、形あるものは必ず滅びることを伝えたくて」人間椅子・和嶋慎治がニューアルバムを熱く語る!(インタビュー)の画像3画像は、和嶋慎治

和嶋 全体的に、神様よりも悪魔や異形のものの側の立場にたっていますね。そもそもロックミュージックそのものが“そっち寄り”なワケですし。あまり神の立場に立って書いてしまうと、すごく説教くさくてキレイすぎちゃって魅力がない。それに比べると悪魔は魅力のかたまりなんです。なんといっても人間を誘惑する訳ですから、魅力がないとダメ。だから、自分としても、そっち側で書きたい気持ちがあったんです。

ただ、完全に悪魔的なことは歌いたくない。それはもう「悪」ですから。とはいえ人間は光と闇のどちらも持っているのだから、闇で光を照らすというか、闇があって光り輝くという風にできたらなと考えて制作しましたね。


――和嶋さんにとっての悪魔は、具体的にどのような存在なのでしょうか?

和嶋 宇宙人=悪魔説ってあるじゃないですか。キリスト教原理主義者の人たちも「宇宙人は悪魔だからUFOを信じてはいけない!」って言いますしね。それ、核心ついているなと思うんですよ。悪魔を現代的に展開させたのが宇宙人ではないだろうか、と。アダムとイブも悪魔から知性をもらっているように、悪魔というのは、いつも人間の覚醒をうながすという一面を持ってるんです。つまり悪魔は必ず、人間より少し進んだテクノロジーを持ってくるということです。飛行機より前の時代には飛行船で来たりして、その時代より「ちょっとだけ進んだもの」を見せてくれるんです。

 現実というのは、そういった色々な異次元からのアプローチがあるということ。それらもひっくるめての世界なのだという現実を、自分なりの言葉で色々な角度から言いたかったんです。その場合、「異次元」を持ってくるとなんでもできちゃうんですよ。悪魔だけでなく、宇宙人も鬼もモノノケも。

 異世界との対比によって、現実なんて実体がないと思えてくる。仏教でいう色即是空。我々は「現実があるんだ! 現実が永遠に全てだ!」と思い込んでいるから苦しみが生まれてしまう。でも実は、形あるものは必ず滅びるし、実体がない。異次元の中の一つの現れに過ぎないんだ、ということも言いたいんです。だから一曲目はストレートに色即是空を歌った「虚無の声」。それを都会的な現代人の視点で言ってみたのが「太陽がいっぱい」ですね。

※和嶋慎治インタビューまとめはコチラ

New Album『異次元からの咆哮』

「現実なんて実体がない、形あるものは必ず滅びることを伝えたくて」人間椅子・和嶋慎治がニューアルバムを熱く語る!(インタビュー)の画像4異次元からの咆哮 (初回限定盤)/徳間ジャパンコミュニケーションズ

■初回限定盤(CD+DVD)
TKCA-74333 3,704円(税別)
■通常盤(CD)
TKCA-74337 2,685円(税別)

【人間椅子「異次元からの咆哮」リリース記念イベント!】
2017年11月5日(日)タワーレコード札幌ピヴォ店 13:00〜
【ワンマンツアー情報(全国9公演)】
新作『異次元からの咆哮』リリースを記念した全国ワンマンツアー(全9公演)決定!
初のZepp Diver Cityでファイナル!
10月31日 仙台CLUB JUNK BOX
11月2日 弘前Mag-Net
11月4日 札幌cube garden
11月8日 神戸Chicken George
11月10日 高松Olive Hall
11月12日 大阪umeda TRAD(前AKASO)
11月14日 博多Be-1
11月16日 名古屋Electric Lady Land
11月19日 東京Zepp DiverCity

【イベント出演情報】
11月23日(木・祝)CLUB CITTA’川崎
12月16日(土)名古屋Electric Lady Land
2018年1月24日(水)恵比寿LIQUIDROOM

◆人間椅子 オフィシャルサイト

関連キーワード:, , ,

文=吉田悠軌

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

人気連載

danger
イタコ、霊媒、エロ祈祷…エログロナンセンスな超常現象ドキュメンタリー『恐怖・怪奇・悪霊 超常現象の世界』とは?

イタコ、霊媒、エロ祈祷…エログロナンセンスな超常現象ドキュメンタリー『恐怖・怪奇・悪霊 超常現象の世界』とは?

※こちらは2020年の記事の再掲です。 ――絶滅映像作品の収集に命を懸ける男・...

2024.02.27 08:00奇妙
青酸カリで人を殺すのは意外と難しい。推理小説のトリックは概ね間違いだった!?

青酸カリで人を殺すのは意外と難しい。推理小説のトリックは概ね間違いだった!?

【ヘルドクター・クラレの毒薬の手帳 第1回、青酸カリ/後編】  ※本記事は2...

2024.02.07 08:00科学
【毒薬の手帳】ググっても出てこない、青酸カリの本当の話

【毒薬の手帳】ググっても出てこない、青酸カリの本当の話

本記事は2015年に掲載された記事の再掲です。 【ヘルドクター・クラレの毒薬の...

2024.02.06 08:00科学
九州地方で正月に行われていた飲尿儀式の伝統があった!?

九州地方で正月に行われていた飲尿儀式の伝統があった!?

※本記事は2018年の記事の再掲です。 【日本奇習紀行シリーズ】 九州地方 ...

2023.12.30 08:00奇妙
龍のパワーを秘めた文字、「左回り」のエネルギーを得られる輪…今最強の波動グッズ3選

龍のパワーを秘めた文字、「左回り」のエネルギーを得られる輪…今最強の波動グッズ3選

不思議ジャーナリスト・広瀬学が渋谷クロスFMのラジオ番組のレギュラー出演者にな...

2024.03.19 16:30スピリチュアル

「現実なんて実体がない、形あるものは必ず滅びることを伝えたくて」人間椅子・和嶋慎治がニューアルバムを熱く語る!(インタビュー)のページです。などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

トカナ TOCANA公式チャンネル

UFO・宇宙人最新記事

UFOはすべて“USO”だった!?

UFO・宇宙人

エイリアンに精子を盗まれた男

UFO・宇宙人

“機密扱いのUFO映像”が公開中!

UFO・宇宙人