• このエントリーをはてなブックマークに追加
  • コメント0
関連キーワード:

ボストン

,

真田秀久

bpstonmarathon.jpg
画像はYou Tubeより

 4月16日、8歳男児、29歳女性、そして23歳の中国人女子留学生という未来ある3人の命を奪い、約180人の負傷者を出したボストンの爆弾テロ事件は、ここにきて容疑者らしき2人の若い男性がビデオ映像で確認されるなど急展開を見せている。

 アメリカでの爆弾テロというと、最近では9.11同時多発テロの印象があまりに強いためか、「イスラム過激派によるテロか?」と早合点されそうだが、今回の事件に関しては米連邦捜査局(FBI)関係者などは、国内不穏分子、愉快犯との見方が強いようだ。

 その背景にあるのが今回の爆弾テロ後2日を経ながらも犯行声明がない点である。テロ問題に詳しいジャーナリストの村上和巳氏は次のように語る。

「そもそもイスラム過激派の場合、かなりの確率で犯行声明を出します。これは『戦果』の強調が組織拡大、つまり構成員獲得につながるからです」

 一方、使用された爆発物は、圧力鍋に火薬と殺傷能力を高めるためにクギや金属片などを詰めた形式であることがわかってきた。この種の爆発物はイスラム過激派のテロ教本などでも製造方法が解説されているが、手法そのものもイスラム過激派とは異なるという。前述の村上氏が続ける。

「今回は2回の爆発がほぼ間を置かずに連続しています。イスラム過激派の爆弾テロは巧妙で、ほぼ同じ地点で連続して爆発を起こさせる場合、一度目の爆発後、警察、救急隊や野次馬などが集まってきた頃を見計らって、2度目の爆発を起こさせることが多いのです」

 では、アメリカ国内の個人、組織によるテロだとすると、想定される犯人はどのようなものか? 参考になるのが過去にアメリカ全土を震撼させた2つの爆弾テロ。

1978~95年:カリフォルニア爆弾テロ

 1つが通称・ユナボマーと呼ばれたカリフォルニア大学バークレー校数学科元助教授・セオドア・カジンスキーによる爆弾テロである。彼は1978年から1995年にかけて爆発物を送りつける形で未遂も含む6件の事件を引き起こし、合計3人を殺害した。ただし、逮捕後、統合失調症と診断され、犯行の背景はいまだに不明のままだ。

1995年4月19日:オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件


 もう1つが元米軍兵士であるティモシー・マクベイが1995年に引き起こした「オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件」である。「ニトロメタン」と「硝酸アンモニウム」から成る「ANFO爆薬」を満載したトラックを利用し、死者168人、負傷者800人以上という大惨事となった。マクベイに対しては2001年に死刑が執行されたが、彼は裁判時に新興宗教組織である「ブランチ・ダビディアン」に対して連邦政府が行った掃討作戦に対する報復が動機であると語っていた。

■1993年4月19日:ブランチ・ダビディアン集団自殺事件


 「ブランチ・ダビディアン」とはキリストの再降臨を望むプロテスタントの一派で、終末思想を強く信じ、最終戦争に向けた武装化を図っていることが露見。93年、強制捜査を機にFBIとの銃撃戦を展開し、教祖をはじめとする信者80人以上が集団自殺した。

 実は、この「ブランチ・ダビディアンの集団自殺事件」と「オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件」は同じ4月19日に発生している。マクベイがブランチ・ダビディアンを意識して犯行を行っている以上、それ自体は驚くほどのものではない。しかし、今回起きたボストン爆発事件と、4月19日には意外な関係性があるのをご存じだろうか。

■4月19日にまつわる奇妙な話

 今回のボストン事件は4月15日に発生したが、この日はボストンがあるマサチューセッツ州の祝日「愛国者の日」。その由来はアメリカ独立戦争の火蓋が切って落とされたレキシントン・コンコードの戦いを記念したもので、実は元々4月19日に設定されていたが、後に便宜的に4月の第3月曜日と変更されたものである。つまり「4月19日」と「愛国」というキーワードが重なる日に事件は発生したのである。

 現在、アメリカは初の有色人種大統領であるバラク・オバマ大統領が2期目に突入している。オバマ大統領の政策は左派・リベラル色が強く、その就任以降、愛国者を自認する右派過激派の活動は活発化してきているといわれる。

 もっとも今の段階ではまだ狂信的な愛国者の犯行かどうかは断言できない。しかし、独立精神と愛国精神の解釈を悪用し、犯行動機として利用された可能性のある4.19。その事件発生率の高さからも「呪われた日」であることは否めないだろう……。
(真田秀久)

関連キーワード

コメントする

お名前
コメント
画像認証
※名前は空欄でもコメントできます。
※誹謗中傷、プライバシー侵害などの違法性の高いコメントは予告なしに削除・非表示にする場合がございます。