900人とSEX、集団自殺……脅迫観念に襲われたジム・ジョーンズの末路

 ジムは人民寺院で説教するだけでなく、貧しい者に食事やシェルターを提供するなど福祉活動に精を出した。自身も貧しい生活であったが、黒人の男の子、韓国孤児の男の子と女の子を養子に迎え、実子である息子と分け隔てなく育てた。「我が家はレインボー・ファミリーだ」と笑うジムは救世主と崇められるようになった。

 人民寺院が急成長を遂げた60年代は、米ソの冷戦やキューバ危機など、社会が不安定な状態にあった。核戦争を異様なまでに恐れていたジムは、雑誌「Esquire」の「核戦争が勃発しても生き残れる9つの場所」特集を読み、カリフォルニア州ユカイアに信者共々移り住む決心を固める。

 141人の信者と共にユカイアのレッドウッド・バレーに移住し、自給自足の生活を始めたジムは、年に数回、バスをチャーターして信者と共にクロスカントリーツアーを行った。この頃、ヒッピー上がりの弁護士ティム・ストーンがジムに近付き、人民寺院の上層部は白人で固められるようになった。「資産を寄付すればユートピアが実現する」という理屈に誰もが従うようになり、信者は安定した生活を与えられた。しかし、働き詰めの生活を強いられるようになると、睡眠時間もろくに取れぬ信者たちは自ら考えることをやめ、全てをジムにゆだねるようになってしまった。そんなある日、ジムは説教の最中に聖書を突然床に叩き落し、息をのむ信者を見回し、こう言った。

「聖書を侮辱した私に、天から雷が落ちてきたか? 天からは誰も降りてきやしない。空の上に天国などありはしないのだ! そんなのは偽りなのだ! 我々が、この地上に天国を作るのだ!」

 そして、続けてこう言い放った。

「私に友になって欲しい人には友になろう。私に父になって欲しい人には父になろう。
私に救世主になって欲しい人には救世主になろう。私に神になって欲しい人には神になろう」 

 これを機に、ジムは大勢の信者の前で車椅子の老女を歩かせたり、目の見えない信者の視力を取り戻すなど、さまざまな奇跡を起こすミラクル・パフォーマンスを行うようになった。もちろんすべてヤラセなのだが、何も知らぬ信者は目の前で起こった奇跡に興奮し、泣き叫び、トランス状態に陥った。そして、ジムを唯一の神と崇めるようになり、絶対服従するようになっていったのだ。 
 絶頂に立ったジムは、性的な面でも信者たちをコントロールした。説教では、「この世の人間は、私以外、皆ゲイだ」「信者同士が性的な関係を持つのは身勝手なことだ。人民寺院の助け合いの精神を欠く行為だ」と言い、夫婦であっても性行為を禁じた。そして、気に入った信者には男女を問わず「ファックしてやってもいいぞ」と声をかけるようになった。異常なまでに性欲が強かったジムは、何人もの女性とセックスした後もオナニーできると豪語したり、ゲイとセックスするために町をぶらつきセックスを強要しようとしたとして逮捕までされている。ユートピアでは差別者ではないという証に、白人信者は黒人信者の性器を舐めるよう指示されていた。

 このことが原因で脱会する信者が増えるようになると、告発しないようストーカーのように嫌がらせをした。1972年には、ジムの子どもを出産したティムの妻も脱会。妻は、人民寺院に残した子どもを取り戻そうと裁判の準備を始めた。ジムの力添えでサンフランシスコ地方検事補になっていたティムは、このことが世間に公になると失脚してしまうと焦り、妻を説得しようと必死になる。

 信者たちに裏切られたと歯軋りしていたジムは、次第に脅迫観念に支配されるようになり、1974年、1,000人近くの信者を連れて南米ガイアナのジャングルに移住した。ジョーンズタウンと命名したこの土地で、相変わらず自給自足の生活を送ったのだが、精神を病んでいたジムは繰り返し革命的自殺をしようと説くようになった。脱会しようとする者はリンチされ、皆の前で自慰行為をするよう強制させられた。ジムの完全なる支配下に置かれた人民寺院は破滅へと突き進んでいったのだ。

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