「木嶋佳苗は男のストレスを解放していた」唐沢俊一が語る、「デブ」と「美醜」と「オカルト」論

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――マザコンにも似ていますね。

唐沢  そうですね。母親がすべて決めて「あれしなさい、これしなさい」って言ってくれた幼児期に戻りたいという願望が男性にはあるんですね。多くの男は反抗期に、「自分で全部決めるよ」と反発した結果、自我に目覚めていく。 でも一方で、親との断絶を経験できずに社会に出ちゃう人もいて、そういう人は自分で物事を決められないので、あまり社会で成功しませんね。親との絆を切らないと、自我の確立ってできにくいんですよね。

自分で判断しなくていいというのは本当に楽なんですね。怒られたり罵られたり、たたかれたりするのさえ我慢をすればいいわけで、全部自分の責任でやるよりもよほど楽なんですね。

 黒澤明の『用心棒』で、やくざに自分の女房をとられ、女房の顔を見にいくたびに殴られて、しまいに殴られ慣れてしまって、「自分から女房をくれてやったんだ」と言うようになる百姓が出てくる。主人公の三船敏郎が見るに見かねて助けてやるんだけど、結局、その男がお礼の手紙を持ってきたことで三船はやくざたちにつかまって拷問を受けるはめになってしまう。

 まったくの役立たずに描かれていて……天才・黒澤にとって、こういう優柔不断なヤツは本当に腹が立つ存在だったんでしょうね(笑)。 世の中が劣化すると、人間というのは双極化していくんです。徹底して責任を回避したくて引きこもりになるか、あるいは真逆に、そういう人間を支配していく方に回るか。

 持ちつ持たれつではなく、ベクトルが一方向化していくと、その先はなだれこむように猟奇の匂いのする犯罪に落ち込んでいく。角田美代子事件なんてその典型ですね。

 『社会派くんがゆく!』(※)で自分たちが語ってきた事件の7~8割ぐらいは、そうした「責任回避」か、あるいは「誇大妄想的なまでの支配欲」に関係している気がします。支配欲というのは、いままで男性のものだと思われてきたんだけど、実は女、それもセックスに強いデブ女に主体が切り替わってるんじゃないか。デブ女の犯罪が一種ムーブメントになりましたからね。

――ところで「名器」ってどんな女性器のことを言うんでしょうか?

唐沢  名器って何かって言うと、やっぱ脂肪なんですよ。ズブズブとどこまでも吸い込まれていく奥行の深さらしいですね。それと、適度なユルさ。これもデブ女の性器の特長。

 これはSMの縄師のおじいさんから聞いたんですが、名器というのは長く楽しませてくれるもので、ミミズ千匹だとか数の子天井と言われるものなんて名器ではないと言うんですね。あんなものは入れたら一瞬で終わってしまう。“2時間以上中で保たせてくれるのが名器”だと言ってましたね。

 話が飛ぶんだけど、矢追純一とか、昭和のUFO番組ってこれなんですよ(笑)。宇宙人がいるのかいないのか、アッという間に結論出しちゃ楽しめない。ユルく、でも時に緊張させて、2時間スペシャルで楽しまさないといけない。あの番組は「名器」でした。でも、最後までエクスタシーがなかったりはするけどね(笑)。

 こうこと言うと怒るマニアがいる。オカルトにしろ超常現象にしろ、性とからめるというのはタブー視されてきたり、キワモノ扱いされてきたんです。しかし、これは実は表裏一体のところがある。

 解脱して性的な欲望なんてものから解放されたはずの教祖が信者の女性に片っ端から手をつけてハーレムにしちゃう例も数多い。宇宙人にさらわれたアブダクション体験が露骨な性体験のアナロジーである例もあります。

 グレイは性器があるのかないのかわからないように、宇宙人が性的な能力の欠如者として描かれるという点もおもしろい。「オカルトと性」というのも追究していきたいテーマですね。

 高信太郎というギャグ漫画家がいるんですが、昔、UFOをひっくり返したらオマンコがついていて、それとセックスしたら宇宙人との混血ができたというバカバカしい作品を描いたことがあるんですね。で、UFOと夫婦になって、『そんなUFO(ユーフォ)に惚れました』って言うの(笑)。いや、バカバカしいけど、UFO体験とセクシャリズムを結びつけたという点では大した作品だと思ってます。

――そのあたりもメルマガ『たった一人の社会派くん』で論じられるんですね。楽しみにしています!
(文・コレコレ)

※『社会派くんがゆく!』 ウェブ上に連載されていた唐沢俊一・村崎百郎両氏の鬼畜対談。同シリーズの単行本はアスペクトから10冊刊行された。

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■唐沢俊一(からさわ・しゅんいち)
作家・評論家。1958年札幌生まれ。90年代サブカルブームの代表的書き手の一人として活躍し、その後社会評論、『トリビアの泉』『世界一受けたい授業』などでの雑学ブームの仕掛人として多数のメディアに顔を出す。最近は劇作家としても活動。

※記事は、「ハピズム」より

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