プーチンに政治利用される「t.A.T.u.」!? 五輪に向けてノット・イナフなロシア事情

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 お互いソロ活動となり、各々路線変更があったことから、かつてのイメージが強い人の目には別人にうつったかもしれない。ちなみに、今回のコンサートではないが、黒髪に大きな瞳が印象的だった、コンサバ系のユーリャは、エロかわいい、ピンクの下着にスケスケの白いTシャツ姿でイベントに登場。岡本夏生路線にスイッチしたようにしか筆者には思えないのだが、これがロシア版のイケイケなのだろうか。集まった報道陣も呆れ顔だが……。いずれにせよ、同性愛者というイメージを使うことなく、実力派として十分復帰できることは、うかがい知れた。

■同性愛禁止法可決に押し寄せる批判

 さて、話は変わるが、今年7月、プーチン大統領の署名によって「同性愛宣伝禁止法案が成立した」と、ロシア政府が発表した。時代錯誤のようにも感じるが、これは、プーチン大統領の、「ロシア正教を核とした保守的な社会を目指す」という意向に基づいたものだという。アメリカやイギリスのようなキリスト教徒が主な国でさえ、時代の流れとともに、同性愛規制に否定的になっており、同性愛者の婚姻を法的に認めるようにもなってきている。こうした背景もふまえ、人権擁護団体や西側各国の政府は、“反対意見弾圧の一環”だとして、プーチン大統領が定めた同性愛宣伝禁止法案を批判している。

■同性愛宣伝禁止法案、重い刑罰内容

 同性愛宣伝禁止法案では、「非伝統的な性的状況を作ることを狙った情報」または「同性愛と異性愛の関係が“社会的に同等”であるという“歪んだ理解”を持たせる情報」を、未成年者に広めた者に対し、最大5000 ルーブル(約1万5000円)の罰金を科している。また当局者に対しては、そのような「プロパガンダ」がマスメディアやインターネットを通じて広められた場合、最大20万ルーブル(約60万円)の罰金が科される。外国人は罰金の対象になるだけでなく、最大15日間の身柄拘束と、国外退去の処分が科せられる恐れがある。また団体には、最大100万ルーブル(約300万円)の罰金と、90日間の活動停止処分が科される。

 プーチン大統領は19日、同国北西部ワルダイで行われた内外有識者との会合において、同性愛宣伝禁止法は人口減対策であり、人権侵害の批判は不当だとの見解を示した。同法は人口減に悩むロシア国家としての選択だというのも一理あるが、Twitterで同性愛であることを告白した男性が虐殺されるなど、ロシアにおける同性愛者への意識はまだまだ根強い問題としてあるのは確かだ。

 ちなみに現在、同性愛規制に対して、レディーガガや、自ら同性愛者であることを公表しているエルトン・ジョンなどのアーティストが抗議活動を続けている。ちなみに、エルトン・ジョンは先月、ロシアでコンサートを開催したばかりだ。

■同性愛宣伝禁止法でソチ五輪をボイコットする選手も!? 「t.A.T.u.」が救世主に

 2014年2月7~23日に開催され、期間中には約12万人の訪問客が見込まれているソチ五輪。しかし、こうした一連の同性愛者に対する規制から、国際社会ではソチ五輪の中止すらも懸念する動きが出ている。IOCの意見としては、一部からは差別的であるとの批判もあるが、査察団長のジャンクロード・キリー氏は「五輪憲章が尊重されている限り、IOCは満足である」とコメントし、問題ではないとした。

 しかし、同性愛宣伝禁止法案を理由に、出場を拒む選手や協賛を断る企業も実際に現れ出しているのも、これまた事実である。プーチン大統領としても、最悪の事態だけは避けたいはずだ。

 そこで、このタイミングで出てきた「t.A.T.u.」。かつて全世界が注目した、同性愛を売りにした2人組。プーチン大統領からすれば、同性愛者に反対しつつ、事をうやむやにするには適材である。「t.A.T.u.」の2人は朝日新聞の取材に対して、「日本での復活を夢見ている」と語っているが、かつてのファンは、未だにドタキャン事件を忘れてはいないだろう。もし本当に「t.A.T.u.」が日本で復活した際には、裏でプーチンの魔の手が動いた時なのではないだろうか。

 アノ騒動から10年、また彼女たちから目が離せない。
(アナザー茂)

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