すべての生命体にとって、必要不可欠な物質である「水」をテーマに作品を撮り続けている写真家、池谷友秀氏。
11月23日に刊行を予定している写真集『BREATH』は、人間が無意識に行っている呼吸をテーマに、水中に放り込まれた人の自然な姿を切り取っている。
“もがく者”“抱き合う者”“楽しむ者”“苦しむ者”……彼らから吐き出された無数の気泡が、〈呼吸=生きる〉ことを可視化している。
また、この写真集のもう1つのテーマに“コントロール”という言葉が挙げられているのだが、これは、水中において人間は“平等に制御できない状況”であるを意味しているという。
それが、いいことなのか、悪いことなのか、それすらも曖昧な水の世界を、池谷氏は「生への執着が露呈する世界」だと述べている。
撮影は、もともとダイバーだった池谷氏がプールの底に潜ってスタンバイをし、そこにモデルが飛び込む――というものだったという。ダイビングすることで水の世界に魅せられたという池谷氏。その経験から感じたこと、見たこと、そのすべてが、この写真集に詰まっている。