“人体刺繍”芸術が訴えかけるものとは? 英国人アーティストが挑戦する痛いアート
うわぁ、痛そう! そう感じてしまったあなたは、この表現行為の奥に込められた意図に見事に触れたということでしょう。
このたび自らの手のひらに刺繍を施し、オフィシャル・サイトを通じ世界に向けて作品として発表したのは、1980年生まれの英国人女性アーティスト、イライザ・ベンネットさんです。
見ての通り、今回の彼女の作品は、自らの手のひらをキャンパスとして、そこにカラフルな糸をこれでもかと縫いつけたものです。どうやら写真におさめた後、しっかりと糸は抜き取るようですが、それにしても手のひらに刺繍を施す際の痛みがこちらにも伝わってくるような作品です。
では、彼女がこのような作品を制作した意図とは一体何だったのでしょう。それにはこの作品のタイトル「a woman’s work is never done(女性の仕事は決して終わらない)」が深く関係しています。
ベンネットさんは、女性が伝統的に担わされてきた仕事の象徴として刺繍という方法を選び、さらに、人々の心の奥底にある「女性の仕事は、楽で取るに足らないものだ」という意識に対して挑戦するために、このような手段をとったと語っています。彼女の作品は、刺繍だけでなく、他にも伝統的に女性の仕事として扱われてきた掃除や介護、調理といった過酷で低賃金な労働の実態を思い起こさせる意図が込められているのです。
彼女は、「何か実際に、自分自身が感じ取ることのできる作品を作りたいという衝動に駆られた」ために今回の刺繍行為に挑んだそうです。制作を通して、「個人と社会の現実に関わる問題を探検した」といいます。そして完成したこの作品については、「見る人に対して同じ感覚を与え、強く語りかけるものであるだろう」としています。
ネット上では、「悪いけど、胸くそが悪くなる作品だな」といった声や、「胸が張り裂けそうで、かつこの上なく美しい」といった感想など、さまざまな反響が寄せられています。中には「彼女は何も痛くなかったはずだよ。皮膚の表面部分を縫っただけだろうから。不完全な作品さ」という厳しい意見も。
しかしベンネットさんは、芸術作品を力強くあらしめるものとは、人の内側に何らかの感覚を巻き起こす点であると信じています。その意味において、彼女の作品は非常に力強い作品であると言えるのではないでしょうか。いったい次はどのような作品を届けてくれるのか、非常に楽しみですね。
(モンペ・アザブジュバーン)
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