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■気づいてしまった、反復脅迫願望
――笹山さんが提唱されている「日本人全員マゾヒスト説」を教えてください
笹山 原爆を落とされたトラウマが戦後の日本人をマゾにしてしまったのではないかと推測しています。たとえば、映画の『ゴジラ』では、国土が攻撃されることを何十年もずっと描き続けています。フロイトが「反復脅迫」と言っていますが、自分の想像を超えたダメージを受けた人はもう一度その体験を繰り返し たいと思うようになるそうです。痛くて嫌だけどもう一度体験したい、そういうものが戦後の日本人にあるのではないかと思っています。

――美術の文脈でも、戦争は一つのターニングポイントとして位置づけられています。特にサブカルチャーへの影響は強いですね。
笹山 あんまり本を読まないので分からないのですが。
――日本で作品を作るときにはどうしても戦争が大切に重要なポイントになってきますね。
笹山 反復脅迫でいうと3.11のときに、僕自身とても興奮しました。余震に揺られながらふと気づいたら勃起していました。死ぬかもしれないのに気持ちよかったんです。そういう体験からこれは日本人全員に共通するかもれないと考えるようになりました。