
この村には掟がある。
「村の外の人間と、結婚してはいけない。もしもそれを破った場合、村から出ていかなければならない……」
村に流れる純粋な血を絶やさないように、いつの頃からかこの掟は決められた。

16世紀。バリ島の隣に位置するジャワ島にはイスラム教の王国が建国される。この王国に追われ、大量のヒンドゥー教徒がバリ島に移り住んできた。そして、この大量移住によって、今度は、バリにもともと住んでいた原住民「バリ・アガ」の人々が住処を追われることとなる……。
バリ島東部・カランガッサム県にある「トゥガナン村」は、バリ・アガの住む村だ。バリ・アガとしてのアイデンティティを守るため、この村には「村外の者との結婚を禁止する」という掟が定められている。