セクハラ、情実人事、児童買春…元エリート裁判官が告発する、腐敗した裁判所の実態 ~裁判所は、守ってくれない~

ZETUBOUNO.jpg画像は『絶望の裁判所』(瀬木比呂志/講談社現代新書)より

 司法の危機が叫ばれて久しい。

 1966年の殺人・放火事件で死刑判決を受けていた、元プロボクサーの袴田巌さんの再審開始決定が下されたのは記憶に新しいが、そのほかにも、2010年には郵政悪用事件で証拠の改竄を行った大阪地検特捜部検事の逮捕、足利事件や東電OL殺人事件では冤罪を見逃し、再審を妨害するようなことさえあった。

 検察への信頼はほとんど崩壊状態だ。

 だがそれでも、「裁判所」への信頼だけは持っている人は少なくないだろう。「正義の砦」「最後には真実を見抜いてくれる」そんなイメージや期待がある。


■31年間裁判官だった著者が暴いた、衝撃の実態!

 しかし「残念ながら、おそらく、日本の裁判所と裁判官の実態は、そのようなものではない」。なんと、当の裁判官がこう言い切っているのである。31年間裁判官を務めた瀬木比呂志が『絶望の裁判所』(講談社現代新書)で、裁判所と裁判官の腐敗ぶりを告発しているのだが、同書によると、その実態は想像する以上に絶望的だ。

 例えば、痴漢冤罪に遭遇してしまったとしても、裁判所が無罪判決を下す可能性は低いという。なぜなら「刑事系裁判官の判断の秤は、最初から検察官のほうに大きく傾いている」からだという。多くの人間が抱くイメージとは違い、裁判所は正義を実現するところでは決してない。それどころか、「大局的にみれば、『国民、市民支配のための道具、装置』」というのだ。

「日本の刑事司法システムで有罪無罪の別を実質的に決めているのが実際にはまず検察官」だから、無実の罪を着せられても、一旦起訴されてしまえば有罪率は99.9%! 私たちが必死に“真実”を訴えても「検察が正しい」と言えば裁判所はそれを信じるだけだ。しかも容疑を否認すれば「反省していない」と情状さえもらえない。

 罪を犯していないのに自供してしまうことは決して珍しいことではない。そんな状況下で「裁判なら真実を明らかにしてくれる」と期待しても土台無理、ということだ。

 一体なぜこんなことになるのか。

 本書によれば、それは裁判官といえども官僚機構にすぎず、「事務総局中心体制であり、それに基づく、上命下服、上意下達のピラミッド型ヒエラルキー」だからだという。裁判官といえども人事権によって大きく縛られる。法務省は平等とは真逆の組織であり、露骨な情実人事さえも行われる。

 事務総局が気に入らない判決を出せば、見せしめ的な左遷人事も行われる。裁判員制度の導入にしても「どろどろとした権力闘争に一部裁判官が勝利するための手段」という背景があったというから驚きだ。

 民事案件では執拗に和解を勧告するのも、持っている事件が多いと人事査定に響くからであり、憲法に補償された「裁判官の独立」など絵空事なのだ。

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