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仲田しんじ

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皮膚がん

 これまでに1000人ほどしか診断例がないという難病の手術で、なんと頭蓋骨の額部分をほぼ丸ごと除去した女性によるフェイスブック上の活動“DFSP - DERMATOFIBROSARCOMA PROTUBERANS”が注目を集めている。

 隆起性皮膚線維肉腫(Dermatofibrosarcoma protuberans、略称DFSP)という、非常に稀な皮膚ガンに苛まれた45歳のイギリス女性、ピップ・カリスカン(Pip Caliskan)さんが、この難病と自らの体験を世に知らしめると共に、同じ病気に苦しむ世界中の患者との情報共有をめざし、フェイスブックを駆使して積極的な活動をはじめたのが2008年。今や600人のメンバーが集うグループとなり、アメリカやカナダ、オーストラリア各政府の後援を受けるほどにまで成長している。


■27歳のピップ・カリスカンさんに起きた悲劇

 現在、こうして世の注目を集めているピップさんだが、この類稀に見る皮膚ガンが、彼女の人生に大きな犠牲をもたらしてきことは想像するに難しくない。さかのぼること1996年、それまでは病とは無縁な生活を送っていた27歳のある日、彼女は自分の額の小さなデキ物を発見して医者に見せたが、ほうっておけば治る程度の単なる腫瘍と診断されその場をやり過ごすことになった。

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ピップ・カリスンさん 「Mail Online」より

 しかし、この診断から6カ月が経ったところで、腫瘍は明らかに大きくなってきたことから、再び医師のもとを訪れて切除手術を希望。そこで初めて精密な検査を受けることになり、その検査から2週間後に彼女は非常に稀な皮膚ガン(DFSP)に罹っていることを知らされることになる。

 事態は緊急を要し、既に腫瘍の影響が広がっている額部分の骨と皮膚を取り除く手術が行われることになった。そしてなんと頭蓋骨の額部分をなんと85パーセントも取り除く大掛かりな処置が施されたのだ。

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手術状況 「Mail Online」より

 手術はその後の1998年にもう一度行われ、取り除かれた頭蓋骨を埋めるように人工皮膚が移植されて彼女の額全体に生々しい大きな手術跡を残すことになった。

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Mail Online」より

 手術の成功後、完治に向かって順調に療養を続けていた彼女であったが、10年が経過した2008年、再びDFSPが再発。これを契機に彼女はフェイスブックでの活動をはじめ、この難病が広く世に知られることになった。

 現在、彼女の病状は鎮静状態にあることから、この活動にますます精力的に取り組み、その結果としてこの難病に関する多くの情報が集められ治療法の開発に向けて大きな成果が得られているということだ。

 この彼女の活動を伝えるデイリーメールのオンライン記事には多くのコメントが寄せられ、彼女に対する賞賛と共に「どうしてもっと早く彼女のことが世に知られなかったのか?」など、今なお多くの難病が世間から無視されている実情を指摘するメッセージも見られる。

 彼女のような勇気ある闘病者自身による自発的な情報発信によって、今までは日の光が当たることのなかった難病が、国境を越えて広く世に知られることになったのはソーシャルネットワークがあってこその現象だ。現在では各種の闘病記のサイトなども多く、医療の分野でもソーシャルネットワークによるコミュケーションは確実に重要なものになってきているようだ。
(文=仲田しんじ)

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