“動機のない”連続殺人鬼、パトリック「俺は可哀想な奴だ…」英国史上最凶のサイコパス

 連続殺人鬼は「サイコパス」であると診断されることが多い。サイコパスとは、反社会的人格障害のために良心や善意を持ち合わせない精神病質者のことを指す。その数は100人につき1人の割合で存在するとも言われている。

動機のない連続殺人鬼、パトリック「俺は可哀想な奴だ…」英国史上最凶のサイコパスの画像1パトリック・マッケイ「SERIENHAI.DE」より

 人々から恐れられるサイコパスだが、もちろん全てのサイコパスが犯罪に走るわけではなく、実際には殺人鬼にならないケースの方が多い。しかし、連続殺人鬼はサイコパスである確率が高いということも、揺るぎない事実なのである。

 50年前、イギリスに住む15歳の少年が、精神科医から「この子はサイコパス。冷酷なサイコパシック・キラーだ」と診断された。当時少年はまだ殺人を犯していなかったが、動物虐待、放火、家庭内暴力と手がつけられない子どもだった。そして、この少年は自殺未遂を繰り返すなど、他人だけでなく自分自身にも危害を加える子どもであり、精神科医の診断通り、成人後に11人の命を「動機なく」奪う、凶悪な連続殺人鬼へと変貌を遂げるのだった。イギリス史上最悪のサイコパシック・キラーとされるこの男、パトリック・マッケイとは、一体どんな男なのだろうか。


■荒んだ子ども時代と死への興味

動機のない連続殺人鬼、パトリック「俺は可哀想な奴だ…」英国史上最凶のサイコパスの画像2幼いパトリックと家族「Murderpedia」より

 1952年9月25日、ロンドン北部のミドルセックス州でパトリック・マッケイは誕生した。父親は重度のアルコール依存症で、妊娠中の母親の腹部を蹴り上げるような暴力的な男だった。母親の胎内にいるうちから虐待を受けていた彼は、生まれてからも意味なく殴る蹴るの暴行を加えられて育ち、荒んだ少年時代を過ごした。

 彼が10歳のとき、家族の中で絶対的な権力を握っていた父親が、アルコール中毒による合併症のため42歳の若さで死亡する。しかし、父親の遺体を見せてもらえなかったパトリックは、その死を受け入れることができず、周囲の人たちに「父さんは実はまだ生きている」と言いふらすようになる。しかし、「母や自分に暴力を振るう父なんて死ねばいい」と願っていた彼は、自分がそう神にお願いしたために死んだのだと徐々に考えを変えてゆく。そして罪悪感に悩み始めた彼は、父親の写真を持ち歩くことで心を静めるようになった。

 父親が死んでから、まるで後を継ぐかのように暴力的になったパトリックは、思春期に入ると何の前触れもなく酷いかんしゃくを起こすようになり、13歳の時にカトリックの教会に放火しようとして逮捕される。少年裁判にかけられたが、保護観察処分となっただけで釈放された。家具を投げ飛ばすなど、母や妹たちに暴力を振るい、精神病院に入れられたのもちょうどこの頃だ。その精神病院には「180cmを超える長身の暴力的な少年だが、人形を抱きしめて寝るなど、子どもらしい一面も持っている」との記録が残っている。

動機のない連続殺人鬼、パトリック「俺は可哀想な奴だ…」英国史上最凶のサイコパスの画像310歳のパトリック「Murderpedia」より

 年とともにパトリックの凶暴性は増す一方で、15歳になるとペットのネコやウサギを傷つけ、生きたカメを火あぶりにして殺し、さらに羽を折った鳥を道路に固定し、車に轢かれて死ぬのを見ては、その屍骸で何時間も遊ぶなど「死」に強い興味を示すようになった。父親から暴力を振るわれ続けてきた彼は、自分よりも弱い者に対して暴行をはたらく人間に育ち、「いじめっ子」「嘘つき」「万引き常習犯」と三拍子そろった青年へと成長。老人の鞄をひったくって金を盗んだり、家族の首を絞めたり、近所の男の子を殺しかけるなど、もはやコントロールが効かない人間となり、精神病棟への入退院を繰り返すようになった。

 やがて自殺未遂まで起こすようになり、駆けつけた警察官に「自分は父と共に生きている。だからよく蛇を見る」と訴えるなど、言動は支離滅裂。まだ殺人こそ犯していなかったものの、精神科医から「サイコパシック・キラーである」と診断され、重警備の精神病棟に4年間強制入院させられることとなった。

■ナチスへの陶酔、肥大化する妄想

動機のない連続殺人鬼、パトリック「俺は可哀想な奴だ…」英国史上最凶のサイコパスの画像4ナチス制服姿のパトリック
Murderpedia」より

 サイコパスとの診断を受けたものの、脳波は正常だったというパトリックは、反社会性人格障害の治療を受けた後、20歳の夏に精神病棟を退院。叔母宅に身を寄せ、ウィスキーを飲みながらロンドンの町を徘徊する生活を始めた。酒と麻薬漬けの暮らしを送るようになった彼はナチス・ドイツに心酔し、部屋の壁を第二次世界大戦の写真で埋め尽くすように。ナチス親衛隊の制服を自作し着用、ヒットラーに忠誠を誓う日々を過ごした。そして、ナチスのユダヤ人迫害に興奮し、親衛隊隊長ハインリヒ・ヒムラーの写真を側に置き眠っていた。

 ナチスへの陶酔は日を追うごとにエスカレートし、挙句の果てに自身をフランクリン・ボルボト一世と名乗り出し、「世界の独裁者だ」「いつかこの世を変えてみせる」と妄想するようになった。また、メアリー・シェリーのゴシック小説『フランケンシュタイン』が気に入り、その模型を作っては、ピンを刺したり目をくり抜いて燃やすなどするようになり、周囲を気味悪がらせた。

■司祭とのトラブル、そして突然の変貌

動機のない連続殺人鬼、パトリック「俺は可哀想な奴だ…」英国史上最凶のサイコパスの画像5アンソニー・クリーン司祭
Murderpedia」より

 やがて叔母の元を追い出され、友人宅を転々とするようになったパトリックは、1973年、21歳の時に母親宅付近に住む63歳のカトリック司祭、アンソニー・クリーンと出会う。誰にでも友好的な司祭だった彼は、孤独なパトリックに話しかけ、地元のパブでよく会うようになった。しかし、パトリックは司祭の好意を利用して彼の家に泥棒に入り、30ポンドの小切手を現金化するという悪事を働く。警察は窃盗罪でパトリックを逮捕したものの、裁判沙汰にしたくないと申し出た司祭の提案を受け、金を返すことを約束させて釈放した。酒を買う金欲しさに窃盗を繰り返していた彼は、軽犯罪の常習者として知られており、このときも単なる軽犯罪者として処理されてしまった。もちろん、パトリックが司祭に金を返すことはなかった。

 そして同年7月、パトリックは突然人殺しを始める。最初に殺害したのはハイディ・ミルクという女性だ。彼女は家事を手伝いながら学ぶ外国人留学生で、パトリックは走る列車の窓から彼女を放り投げて殺した。そして同月、マリー・ハインズという女性を彼女のアパートで撲殺。その半年後の1974年1月には、ステファニー・ブリトンという女性と彼女の4歳の孫を刺殺。さらにその数日後には、高齢の放浪者を橋から突き落として溺死させた。

「動機のない」犯行に警察の捜査は難航。逮捕されることのなかったパトリックは、その後ロンドン北部フィンチリー地区にある友人宅へと転がり込み、「悪魔にとりつかれている」と脅えるようになった。1974年2月に自殺未遂騒動を起こして警察に保護されたが、精神病棟に入院していた過去があるにも関わらず「問題なし」として解放されてしまう。そして、その足でチェルシー地区に住む84歳のイザベラ・グリフィス宅に向かうのだった。


■今度は老女ばかりを次々と……

動機のない連続殺人鬼、パトリック「俺は可哀想な奴だ…」英国史上最凶のサイコパスの画像6イザベラ(上)と凶器(下)
Murderpedia」より

 パトリックとイザベラとは顔見知りだった。以前パトリックは、イザベラがスーパーで購入した荷物をアパートまで運ぶ手伝いをしたことがあったのだ。事件当日、イザベラ宅を訪れたパトリックは「今日は手伝ってもらうことはないわ」と言われたにも関わらず、家へと押し入り、彼女の首を絞めて殺した。さらにそれだけでは物足りず、全身の力を込めてキッチンナイフを彼女の腹部に突き刺した。そして彼は冷蔵庫の食べ物や飲み物をあさり、ラジオを聴きながら彼女の遺体を眺めていた。

 数時間後、満足した彼はナイフを引き抜き、イザベラの目を閉じて布をかけた。戦利品としてライターを手に彼女の家をあとにし、ナイフは近くの雑木林に投げ捨てた。イザベラの遺体は、それから2週間後に発見されたが、警察には彼女が殺される理由が分からず、お手上げ状態だったという。

動機のない連続殺人鬼、パトリック「俺は可哀想な奴だ…」英国史上最凶のサイコパスの画像7アデル(上)と殺害現場(下)「Murderpedia」より

 イザベラ殺害後、パトリックの奇行は増す一方で、友人宅すら追い出されるはめになり、社会福祉事業担当から金を盗んだ末に逮捕される。6カ月ほどの刑務所暮らしを経て、1974年11月に出所した。シャバに出たパトリックは、「どうせすぐにクビになってしまうから」と就職を諦め、イザベラのような老女に助ける素振りを見せて近付き、信用を得た上で金を奪い取ることで生活しようと決心。その後、老女の鞄をひったくり、62歳のタバコ屋の店主や、92歳のサラ・ロドウェルを撲殺し、カフェを経営するアイビー・デイビスを斧で斬殺するなど悪事の限りを尽くした。

 そして1975年3月10日、パトリックは89歳のアデル・プライスの家を訪問。水が欲しいと頼むと、すんなり家に入れてくれたため、即座に彼女を絞殺。他の殺人同様、今回も特に動機があったわけではないが、アデルを殺したパトリックは「生まれて初めて」しびれるような快感を覚え、満たされた気持ちになったという。そして死体を眺めながらソファーで熟睡した。しばらくしてアデルと一緒に暮らしていた孫娘が帰宅、鍵のかかっている玄関を開けようとする音で目覚めた彼は、大慌てで逃げ出した。パトリックは孫娘と大胆にもアパートの廊下ですれ違っていたが、アデルと全く接点がなかったことから、犯人だと疑われることもなく、彼はまたもや逃げ切ってしまった。


■司祭殺害が逮捕の決め手に

 アデル殺害の5日後、再び自殺未遂を図ったパトリックは精神病棟に入れられたが、すぐに退院。そして3月11日、友人に「アンソニー・クリーン司祭との関係が同性愛だったのではないか」とからかわれたことに腹を立て、ナイフを2本用意して司祭のもとへ向かった。

動機のない連続殺人鬼、パトリック「俺は可哀想な奴だ…」英国史上最凶のサイコパスの画像8アンソニー司祭の家「Murderpedia」より

 司祭の家は母親宅に近かったため、まずパトリックは母親の元に立ち寄り、土産の鶏肉を渡し料理するよう告げた。それから目的地に到着し、開いていたドアから忍び込んで司祭の首を絞めた。もがき苦しみ、奥の部屋に逃げた司祭の顔を拳骨で執拗に殴り続けた。そしてナイフで首を切りつけ、頭の上からも突き刺そうとするが思い通りに出来ずカッとなり、探し出した斧で司祭の頭を叩き割った。虫の息の司祭は風呂桶の中に横たわっており、その光景を見たパトリックは「風呂桶には水だ」と考えて蛇口をひねる。そして死体が浮かんだり沈んだりするのを興味深く眺めていた。さらに、むき出しになった司祭の脳みそに触れ、これまでにないエロティックな興奮を感じ、その後数時間にわたりうっとりしながら死体を愛で続けた。満足したパトリックは母親宅に戻り、料理された鶏肉をペロリと平らげ、休んだという。

 司祭の遺体は、その日の夜に修道女によって発見された。以前、小切手を盗んだパトリックの逆恨みに違いないと睨んだ警察は、母親宅にいたパトリックを逮捕。パトリックはあっさりと殺害を認め、この2年間で11人を殺したと饒舌に語り始めた。

■反省ゼロ、身勝手な言い訳を繰り返す

動機のない連続殺人鬼、パトリック「俺は可哀想な奴だ…」英国史上最凶のサイコパスの画像9逮捕されたパトリック「Murderpedia」より

 逮捕後、パトリックは最初の6件の殺人の自白を撤回。起訴するために十分な証拠もなかったため、最終的に5つの殺人罪で起訴されることとなった。しかし、そのうちの2つも証拠不十分で却下されることに。精神的に病んでいるため裁判を受けられるのかという点に注目が集まったが、裁判官は「彼は正気だった」と判断。1975年11月、イギリスで最も重い刑罰である終身刑が言い渡された。

 少年時代、殺人鬼になる可能性が高いサイコパスだと診断されたにも関わらず、放置され続けた結果11人を殺害してしまったパトリック・マッケイ。彼は殺人を犯したことに関して罪の意識を持つこともなく、「世間が悪い」などと責任転換を続けている。殺人を回想した際に「自分でも動機がわからない」「自分で自分が恐ろしくなる」とふてぶてしく発言し、「オレは可哀想な奴だ」とまで言いのけたこともあるという。自分こそが被害者だと主張しながら、「人を殺したときの恍惚とした気分を思い出す」というパトリックは、真のサイコパシック・キラーであると事件の関係者たちは語っている。

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