伝説の井筒監督作品 ― 猛抗議で“必然的に”封印された映画!

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封印

 ATG(日本アート・シアター・ギルド)による低予算の前作と違って、大手・東映が今作に出した予算は、前作の倍以上となる3,000万円。だが、現場は大変だったようだ。9月12日の公開日に対して、制作が依頼されたのが6月4日。7月にはクランクインしなければ間に合わない。助監督兼脚本家の西岡琢也はわずか1週間で台本を完成させ、不眠不休の過労からか、撮影中に走行する自動車から転落して大怪我を負う。さらに西岡には、製作会社の徳間書店から「公開に先行して作品の小説を1カ月で書いてくれ」と無茶振りオファーの連続。こうして急ピッチで完成させた作品は、封切られるや好評を博し、西岡の努力も報われた……かと思いきや、なんと公開は中止となってしまう。原因は、劇中に登場するハンバーガー店の本社からクレームを受けたことにあるという。

 店長に不満を抱える良一は閉店後、「この店のハンバーガーは猫の肉や!」と叫び、大きな石を店のウインドウに投げつけて粉々に割ってしまう……。当時流布していた都市伝説(あくまでも都市伝説です)を、店舗の実名を上げた形で取り入れてしまっては、企業側の抗議も必然だったのだ。

 ちなみに、主役の趙方豪(豪田遊)は、その後1997年に悪性腫瘍により41歳の若さでこの世を去った。彼は今作以降も様々な作品で活躍し、演技に対する評価も高かっただけに、その早すぎる逝去を惜しむ声は多い。前作『ガキ帝国』のラストで、権力を笠に着る元仲間の機動隊員を殴って逃げ、飲み屋に駆け込み「ビール1本!」と叫ぶシーンが秀逸で忘れられない。多くの映画ファンが、今もその続編の鑑賞を望んでいるはずだ。

『ガキ帝国 悪たれ戦争』
1981年 東映
監督/井筒和幸
脚本/西岡琢也
出演/豪田遊、北野誠ほか


■天野ミチヒロ
1960年東京出身。UMA(未確認生物)研究家。キングギドラやガラモンなどをこよなく愛す昭和怪獣マニア。趣味は、怪獣フィギュアと絶滅映像作品の収集。総合格闘技道場「ファイトネス」所属。著書に『放送禁止映像大全』(文春文庫)、『未確認生物学!』(メディアファクトリー)、『本当にいる世界の未知生物 (UMA)案内』(笠倉出版)など。新刊に、『蘇る封印映像』(宝島社)がある
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