ポストモーテム・フォトグラフィー 愛する人の死を受け入れる「遺体記念写真」の奇妙な歴史

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victoria7.jpg死後記念写真「Daily Mail」より

 この時代は、現代と異なり家で亡くなる人が多かったため、人々にとって死はとても身近なものであった。そのため、今以上に死に対する恐怖心や不安な気持ちは大きかったという。また、予防接種がなかったこの時代の乳幼児死亡率はとても高く、我が子を亡くした後、「故人を追い求めたり、空虚感、孤独感に襲われる」急性悲観症状が出る親が多かった。「死の恐怖を和らげ、愛する者の死を否定しつつも乗り越えていく」ために、人々は故人の安らかな死に顔を写真に収めるようになった。このように、遺体写真は重要な意味を持つものだったのである。

 葬儀業者がいなかったこの時代、埋葬されるまでの間、遺体は自宅のベッドに安置されることが多かった。仮死状態のまま埋葬してしまうという問題が頻繁に起こっていたこと、遠くに住む親戚が到着するのを待つ必要があったことから、死後埋葬するまでに3日以上間を置いていたという。まだ遺体を防腐処理行することは広まっていなかったため、遺体からはかなりきつい死臭が漂い、遺族はこれでもかというほど死という現実を突きつけられた。この死臭を少しでもごまかそうと、ベッドを無数の花で埋め尽くし、部屋中たくさんの蝋燭を焚いた。ベッドに横たわる形で撮影された遺体写真の多くが花で覆われているのはそのためである。

 遺族は家族が亡くなるとすぐに写真家を自宅に呼び、遺体写真撮影を行った。遺体の状態がよいうちにということと、少しでも早く写真に残していきたいという気持ちがあったからだろう。


■死者を写真で蘇らせる技術

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・目

 遺族の中には、生前のような姿で写真に収めたがる者も多く、椅子に座っていたり、お気に入りのおもちゃで遊んでいたり、親や兄弟たちと一緒に撮影した遺体写真も多く存在する。目を開けている遺体写真もあるが、まぶたに瞳を描いたものや、テープなどの小道具を使って目を開け、仕上がった写真に目の色を入れていた。目が開いているのにとても不自然に見えるのは、そのためである。

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