「介護界のニューヒロインを描きたかった」 映画『0.5ミリ』安藤桃子監督インタビュー!!

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 長編デビュー作となる前作『カケラ』(2009年)が高い評価を受けた映画監督・安藤桃子。今や映画の世界のみならず、作家、テレビ番組のMCなど多方面で活躍する彼女が、原作・脚本・監督を手がけた最新作『0.5ミリ』が公開された。

 本作の主演は、安藤桃子監督の妹であり、次代の日本映画を担う逸材として期待されている実力派女優・安藤サクラ。また、エグゼクティブ・プロデューサーは父・奥田瑛二、フードスタイリストには母・安藤和津を迎えるという、家族総出で製作された力作だ。しかも、監督自身の介護体験をきっかけに着想されたというから、彼女にとって極めて意義深い映画となったことだろう。

 今回、トカナでは、安藤桃子監督にインタビューを敢行。「老人介護」という重い問題を、主人公・サワの破天荒なキャラクターとともに軽やかに描くその裏には、いったいどんなこだわりがあるのだろうか? そして、本作のロケ地である高知に惚れ込むあまり、移住まで果たしてしまった監督。その高知愛には、思いがけない意味も隠されていた!?


――『0.5ミリ』は、監督自身がおばあさまを介護した経験から生まれているそうですね。

安藤桃子(以下、安藤)  そうですね。ただ、「介護体験を元に」というと、ちょっと違和感があります。

――と、いうと?

安藤  確かに介護体験が原点にはなっていますが、実際に体験すると、「介護」という一言ではくくれないということがわかるんです。介護の現場には、それぞれの家族のドラマがあり、家族の中にも私と祖母、母と祖母、父と祖母というような複数の関係性がある。そんな中に、複雑な喜怒哀楽が交じり合っているんです。ですから、「老人介護」という単語で括ることをせず、小さな一つ一つの物語に向き合いたいと考えました。「介護問題がテーマ」というと、どこか重苦しい作品というイメージがありますが、エンタテインメントとして見せようと思ったのは、そういう理由なんです。

――介護の実態を知っているからこそ、シリアスではなくエンタテインメントにしたかった。本作は、主人公の山岸サワによる「人情劇」といった要素もありますね。

安藤  「介護のニューヒロイン、サワちゃん登場」という感じです(笑)

――「アンチエイジング」という言葉が象徴するように「老い」にはどこかネガティブなイメージがあります。けれども、映画の中ではサワと出会うことで、老人たちがイキイキとしてくるのが印象的でした。

安藤  日本人は年齢を重ねることにネガティブですが、私が以前住んだロンドンやニューヨークなど、海外では必ずしもそうではありません。老人たちは、戦争や復興、高度経済成長など、今の若者が知らない時代を知っています。それだけで、尊敬すべき存在なんです。私自身、祖母を看取った時に、祖母からもっと受け継ぐことがあったんじゃないか、と強く感じました。歴史を知る老人から、次の世代へと上手くバトンタッチできてない焦りがあります。

――核家族化が進み、老人から知恵を受け継ぐということは少なくなっていますね。

安藤  例えば、映画の中でも、マコトとサワという若者2人のシーンはドライでそっけないんですが、おじいさん、おばあさんとのシーンはとても豊かですよね。実生活でも、私は、おじいさん、おばあさんといるときに自分の時間が豊かだと感じることができるんです。同世代といるのは楽しいんですが、ふとした時に満たされない気持ちになって、不安に襲われるんです。

――世代間のコミュニケーションがなければ「貧しい」、と。

安藤  世代間だけでなく、地域でのコミュニケーションも同様です。まだ、私の子供の頃は、地域コミュニティも存在していて、近所の人とのコミュニケーションも成立していました。近所のおばあさんに怒られるといった関係があるのが当たり前の社会だったんです。けれども、現代ではそれが崩壊してしまっています。

カケラ

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