「同性愛者」「レイプされた女性」が鞭打ちされる？時代錯誤も甚だしいインドネシア「アチェ州」の条例

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■不倫は鞭打ち刑！

　これはアチェ州の一部地域での話だが、女性がバイクの後部座席にまたがることを禁止する条例もある。バイクに乗る行為そのものが禁止ではなく、横から腰掛ける姿勢ならば違法ではないという何とも微妙なものだ。

　また、今年9月には「不倫をした既婚者や、同性愛者に対する鞭打ち刑条例」がアチェ州議会で可決された。外国人も含めた違反者に最高100回の鞭打ち刑実施という、時代錯誤も甚だしいと思える州条例である。

　しかもそれは、本来なら救済されるべき性的暴力の被害者も含まれる。現地紙トリブンニュースは11月21日に行われた鞭打ち刑受刑者の中に、レイプを受けた女性もいると報じた。すなわち互いが望んだことであろうとレイプだろうと、結果的にそれは不純異性交遊だから罰を与えるべきだ、という考えである。

　この人権無視とも思えるアチェ州の行動だが、ジャカルタはこれに強く反対できない。理由は先述の通りだ。さらに付け加えれば、アチェ州議会は同地の独立闘争を諦める代わりに中央政府から高度な自治権を与えられているという側面もある。かなり複雑な政治事情も絡んでいるのだ。

　そしてアチェ州のようなアクの強い地域は、インドネシア国内にはまだまだある。それについては機会があれば、ぜひ執筆していきたいと思う。

文＝澤田真一

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