「人魚症候群」の少女 ― 両脚が“結合する”極めて珍しい奇形

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 世界には、想像を絶する症状を見せる様々な奇病が存在する。トカナも「全身の毛穴からツメが生える女性」や「手が巨大化する少年」をはじめ、信じられないような病状に苦しむ人々の話題を繰り返しお伝えしてきた。奇病の患者たちは、他に患者がいないことによる不安や孤独、そして無知に基づく偏見や不利益に日々苛まれており、まずは世間が彼らを「知る」ことこそが、少しでも現状を好転させるための契機になるとの思いがそこにある。

「人魚症候群」の少女 ― 両脚が結合する極めて珍しい奇形の画像1画像は「The Daily Mail」より

 さて今回は、「人魚症候群」(または「シレノメリア」)と呼ばれる先天性の奇形を抱えて生まれてきた女の子の話題についてお届けしよう。米国ノースカロライナ州では今月「人魚大会」なる催しが行われて注目を集めたようだが、その参加者たちとは異なり、自ら望まずして下肢部が結合した状態で生まれてきてしまう子どもがいるのだ。

■「人魚症候群」とは?

「人魚症候群」とは、その名が示す通り、新生児の下肢部がまるで人魚のように(踵から股にかけて)完全に結合した状態で誕生してくる奇形だ。発症率は10万人に1人ともいわれ、多くの場合は肝臓や腎臓の障がいを併発するなどして、生後まもなく命を落としてしまう。このような奇形が生じる原因について完全に解明されているわけではないが、2006年の研究では、「レチノイン酸」の量が胚(胎児になる前の個体)に影響を与えている可能性が示唆された。

 両脚の分離手術が成功し、患者がその後も生存するに至ったケースは皆無に等しく、これまでに世界で2例が報告されているのみである。そのうちの1人は、米国フロリダ州出身のティファニー・ヨークスさん(現在26歳)。そしてもう1人が、南米ペルーに暮らすミラグロス・ケロンちゃんだ。

■奇跡の子、ミラグロスちゃん

「人魚症候群」の少女 ― 両脚が結合する極めて珍しい奇形の画像3画像は「YouTube」より

 2004年、フニン県のワンカヨという街に生まれたミラグロスちゃん。スペイン語で「奇跡」を意味する名前を与えられた彼女の両脚は、結合しながらもそれぞれの骨や筋肉組織が維持されていたため、医師は早期の分離手術を提案。そして2006年9月、ペルー全土から集った8人の有能な外科医たちにより、ついに手術が執り行われた。

 医師たちは、あらかじめミラグロスちゃんの脚にシリコンバッグを注入して皮膚を伸ばしておき、分離面の傷口を伸びた皮膚で覆うという手法を採用、見事に手術を成功させた。術後の経過は良好で合併症もなく、ミラグロスちゃんは数週間後に初めて歩くことができたと伝えられている。ただし当時の英「BBC NEWS」によると、分離手術を乗り越えた彼女には、その後も消化器官や尿管、そして性器の再建手術、さらには長期にわたる厳しいリハビリが待ち受けていたようだ。ミラグロスちゃんの父親は、当時のインタビューに次のように答えている。

「数年後には、彼女が他の子と同じように歩き、幼稚園で学んでいることを願っています」

「人魚症候群」の少女 ― 両脚が結合する極めて珍しい奇形の画像5画像は「YouTube」より

 その後、2012年にペルー紙「La Republica」などは、ミラグロスちゃんの状態について「毎日3度の透析と、腎臓移植を必要とする身体」と報じた。しかし彼女は、決して悲嘆に暮れることなく、人々の支援を受けながらも前向きに人生を歩んでいるようだ。写真の表情からは、何度も困難を乗り越えてきたたくましさが滲み出ている。現在のミラグロスちゃんが、健康で幸せな人生を手に入れていることを祈るとともに、「人魚症候群」の研究が進展することを願いたい。
(編集部)

参考:「NBC NEWS」、「BBC NEWS」、「La Republica」、「Oddity Central」、
   「The Daily Mail」、ほか

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