【日本怪事件】「人を殺してみたかった」少年 ― 殺人のための殺人事件か?

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 警察の会見で、少年の語った「人を殺してみたかった」という犯行動機が伝えられるとともに、彼の人となりが明らかになった。社会は戦慄とともに戸惑いを覚えた。明るく活発、ソフトテニスで汗を流し、友達づきあいもいい。成績も優秀で、特に理数系に強かった。当然ながら非行による補導歴などはない。

 逮捕された少年には、3カ月近くに渡って精神鑑定が行われた。その結果、犯行の動機は「殺人犯になってみたいという願いにもとづく『殺人のための殺人』あるいは『退屈からの殺人』というしかない」とされた。また、ドストエフスキー、カミュ、サルトルなど作家の名を並べ「彼らによって考えられてきた人間の不条理を示す事態としての犯罪」と、まるで鑑定を放棄したかのような文言もあった。

 それでいて鑑定は「犯行時に善悪を判断する能力はあった」として、少年の刑事責任能力を認めた。弁護団はこれに異を唱え、再鑑定を求めた。

 そしてその年の12月26日に少年への審判は下り、医療少年院に送致することが決まった。17歳の少年については、家庭裁判所は検察に逆送致することができ(家庭裁判所が、検察から送致された少年を調査した結果、刑事処分を相当として検察に送致すること/少年法20条1項)、その結果、正式な刑罰が科せられるということもありうる。

 事件後に成立した改正少年法においては、殺人については原則的に逆送と定められている。保護処分となったのは、弁護団が申請した再鑑定が大きく採用された結果で、決定では「少なくとも5年間、専門家による適切な医療行為を施すことが必要」と述べらた。
(文=深笛義也)

■深笛義也(ふかぶえ・よしなり)
1959年東京生まれ。横浜市内で育つ。18歳から29歳まで革命運動に明け暮れ、30代でライターになる。書籍には『エロか? 革命か? それが問題だ!』『女性死刑囚』『労働貴族』(すべて鹿砦社)がある。ほか、著書はコチラ

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