オウム真理教のアジトに潜入して思ったこと
麻原彰晃とは何だったのか? 〜オウム真理教のアジトに潜入して思ったこと〜
1995年3月20日に地下鉄サリン事件が発生してから、はや20年。麻原彰晃を教祖とする宗教団体オウム真理教が、数カ所の地下鉄駅でサリンを撒いた同時多発テロ事件は、死者13人、負傷者は約6300人の大惨事となった。
筆者は1980年代に麻原がマスコミに登場した当初から雑誌などを通して、注目していた。そしてサリン事件の後、期せずしてオウムのアジトに潜入するという貴重な体験をしている。今回はその経験をもとに、オウムとは、麻原とは何だったのかをこの機に今一度考えてみることにしたい。
■メディアに登場した麻原
1980年代半ば頃、麻原彰晃がオカルト雑誌で紹介されたことで、筆者はその存在を知った。
当時は「オウム神仙の会」の代表として紹介されており、まだ宗教団体は設立していなかった。当時筆者は、オウムとはまったく無関係に密教ヨガの修行を行ったこともあり、麻原の存在に目を留めていた。だが、「超能力の出ない修行はニセモノ」と称する麻原に師事したいと思うことはなく、ただ傍観していた。興味をもてなかった理由としては、麻原の周囲にはなぜか美人の弟子が多く、どこか「胡散臭い」という印象を拭えなかったことと、麻原が見せる表情に自己愛的なものが窺えたこともあって、自分で言うような“高い境地に達した人間”ではないだろうと思ったことだった。
85年に麻原の「空中浮揚」写真を公開して話題を読んだ雑誌『トワイライトゾーン』(1987年12月号)という当時のオカルト誌に、宗教団体設立後の麻原自身が占星学的手法を取り入れて予言した「私の予言は世界的規模でひとつずつ現実になっている!」という寄稿文がある。この記事では「富士山噴火」や「日米経済戦争」を匂わせるような予言を行っているが、両方とも現実にはなっていない。
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