善戦する日本のポップカルチャーの裏で囁かれる2つの残念なこと

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 3月、米国のポップカルチャービジネス情報誌「ICv2」は、2000年以降、縮小してきた北米における英語版日本漫画の売り上げが13年の8%成長に続いて14年も拡大していることを報告した。特に目立つのは、小学館、集英社、小学館集英社プロダクションの3社の共同出資で米国に設立された日本のアニメ・漫画の翻訳版を販売する企業「ビズメディア」が出版する少女マンガだ。20%増などの数字を挙げている。

 また、ビズメディアがプロデュースした、映像事業も躍進を遂げている。2014年は桜坂洋原作のライトノベル『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(集英社)がハリウッド映画化され、今年2月には、上田早夕里著の短編小説『くさびらの道』(光文社文庫『魚舟・獣舟』収録)がハリウッド映画化されることが明らかになったのだ。

 そんな日本のポップカルチャーが善戦している中、最近、2つの“残念”な話題がネットで大きな話題となった。

 ひとつ目は、2002年ごろから、ハリウッド映画化が進められていた大友克洋原作漫画『AKIRA』(講談社)がまたしても頓挫してしまったこと。

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 08年にはルアイリ・ロビンソン監督により公開が決まっていたが、制作が難航したことにより降板を発表。11年には『ザ・ウォーカー』のヒューズ兄弟が後任を務めることになったが途中でサジを投げてしまった。そして、3人目のジャウム・コレット=セラ監督も一時中断する可能性があると発表されたのだ。

 こうして、なかなか映画化されない理由としては、100億円以上ともいわれる『AKIRA』の制作費とワーナー側の予算が、金銭面で折り合わないことが原因とされる。

 ハリウッド映画では、製作費1億ドル級映画を「ビッグ・バジェット」、6000~4000万ドル規模映画を「ブルー・チップ」、2000~1000万ドル規模の低予算映画を「ロウ・バジェット」と呼ぶが、『AKIRA』には「ビッグ・バジェット」ほどの費用はかけられないということであろう。ワーナーは『AKIRA』実写化にあたって完全撤退か、あるいは予算の縮小やスタッフの再編成など、仕切りなおしが迫られている模様だ。

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