日本のスポーツ観戦はレベルが低い? 錦織圭の惨敗から学ぶべきこととは

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日本のスポーツ観戦はレベルが低い? 錦織圭の惨敗から学ぶべきこととはの画像1画像は「KEI NISHIKORI.com」より

 予想外の敗戦に、さらに予想外の尾ひれが付くこととなった。今月の18日に行われたテニスのBNPパリバ・オープン(米・カリフォルニア州)で、世界ランキング5位の錦織圭は、12位のフェリシアノ・ロペスにストレート負けを喫し、ベスト16止まりとなってしまった。世界ランク的には格下とも言える相手へのまさかの敗戦に、応援していたファンをはじめ、世間はショックを受けることとなったが、そんな錦織に追い打ちをかけるように、彼の発言が話題をさらうことになってしまったのだ。

 それは、敗戦後に錦織が報道陣にこうコメントしたためである。「ボールの感触やコントロールが一度もつかめていない。相手が誰にせよ、そこに苦労した」と、ボールが悪いから負けた、ともとれる見解を示したのだ。加えて、世界ランキング3位の選手であるナダルの「この大会のボールはひどい。多くの選手が1メートルや2メートルのショットミスをしている。特に日中の試合では石のようで、ボールの感触がしない」というボールに対する発言も併わせて紹介されたことで、一見、錦織が明確にボール批判を行ったかのようにミスリードを誘発させる記事も多く見受けられた。このことでネット上では、「少なくともこうやって文句つけてる奴は例外なく二流」「条件は二人とも同じだろ」「勝ってから文句言えよ」「なにこの対応力のなさ」など、錦織に対する批判が起きてしまったのである。スポーツ紙の記者であるI氏はこう分析する。

 「やはり、日本ではまだまだ物言うアスリートが受け入れられない文化が残っている、ということでしょう。今回の場合は、錦織は反省の弁を述べただけなのではと個人的には思っていますが、ナダルのコメントと併わせて紹介されたことで、『負けたのに文句を言うとは何事か』という感情につながってしまったんでしょうね」

 だが、こうした批判が起きるという風潮は、世界的に見ると珍しいものだという。

 「例えば、当のテニスにも2006年から、コンピューター映像処理システムを使用し、審判の判定に異議を唱えることができる『チャレンジ』というシステムを導入していますよね。これはアメフトでも1999年から行われていますし、サッカーなどにも応用されています。これも言ってしまえば判定に文句を付けるという行為なわけですから、日本的な価値観で言えばナシ、ということになるんでしょう。しかし、このシステムによって判定が適正になり、よりゲームがまっとうになったことも確かですからね。アメフトなどは一時はこれの乱発により試合の流れが止まることが多くなり、批判を浴びましたが、対策として回数制限などを設けることで、そうした事態を回避することができるようになりました」(同)

 この現状を踏まえ、I氏はこう提言する。

「確かに、負けた後に理不尽な文句を言うようなことは、あまり褒められたものではありません。しかし、その道に通じたトッププロが、明らかにこうした方がよりそのスポーツがいいものになるというような提言、あるいは、そのスポーツのここが不満だ、という部分を忌憚なく述べることで、よりスポーツのルールが進化するという面もあると思います。ですから、仮に選手が不満を言った場合でも、それがきちんと議論するに値するような意見であれば、『負けたのに文句を言うなんて』というような反応をしないであげてほしいですね」(同)

 負けた時は潔く相手を認める、というのは、スポーツマンシップとして賞賛すべき行為であることは確かだろう。しかし、それに反して意見を述べればすなわち言い訳であり、批判の対象だと捉えてしまうのは、スポーツ観戦の手法として、いささか短絡にすぎるということか。物言うアスリートたちの言葉に耳を傾け、その発言の背景や、正当性を考えることも楽しめる――。我々ファンの側も、そうした成長を遂げるべきなのかもしれない。
(文=阿左美UMA)

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