『絶歌』を読む人たちが求めているものがわからない ― 加害者が執筆・出版した3つの怪事件

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 神戸連続児童殺傷事件の加害者だった「元少年A」が書いた『絶歌』を巡る論争が続いているが、殺人犯が手記を出すことなど、今までにもあったことではないか、という声もある。今年は、首都圏連続不審死事件の木嶋佳苗も『礼讃』(角川書店)を出版している。また、秋葉原無差別殺傷事件を起こした加藤智大死刑囚は2012年に、『解』(批評社)を出した。それぞれ、内容に対する批判の声は上がっているものの、『絶歌』のように出版の是非まで論じられることはなかった。どちらかといえば、目立った話題にはなっていないというのが実情だろう。

 では、どのような事件に関わった加害者がこれまで手記を出してきたのだろうか? 特徴的な怪事件3件を挙げてみよう。

1、連合赤軍リンチ事件

 加害者の手記が最も多いのは、昭和46年~47年にかけて起きた、連合赤軍による同志殺害事件だ。

 連合赤軍幹部で主犯格の永田洋子は『十六の墓標』(彩流社)上下2巻の他、『氷解 女の自立を求めて』(講談社)『私生きてます 死刑判決と脳腫瘍を抱えて』(彩流社 )『愛と命の淵に 瀬戸内寂聴・永田洋子往復書簡』(福武書店)『続十六の墓標 連合赤軍敗北から十七年』『獄中からの手紙』(ともに彩流社)と、ちょっとした作家なみに出版を重ねている。

 同じく連合赤軍幹部で主犯格の坂口弘は『あさま山荘1972』(彩流社)を上下と続で計4巻出している。坂口は獄中で短歌を創っており、『常しへの道』(角川書店)『坂口弘歌稿』(朝日新聞)と、2冊の歌集も出している。

 幹部メンバーの坂東國男も『永田洋子さんへの手紙』(彩流社)を出版している。下部メンバーである植垣康博は、『兵士たちの連合赤軍』『連合赤軍27年目の証言』(ともに彩流社)の2冊を出している。やはり下部メンバーであった加藤倫教は『連合赤軍 少年A』(新潮社)を出している。

 銃や爆弾による武装革命を夢みる者たちで結成されたのが、連合赤軍で、永田洋子率いる革命左派というセクトと、逮捕後に獄中で自殺した森恒夫率いる赤軍派というセクトが連合してできた組織である。銃砲店を襲って銃を奪うなどして警察に手配され、それを逃れて山に拠点を置くようになった。最初は廃屋のバンガローを利用し、後には自力で小屋を建てた。東京の雲取山を皮切りに、丹沢や南アルプスの新倉山、群馬県の榛名山、迦葉山と場所を変えていく。永田らは連合する以前、すでに、山岳アジトを出て市民生活を送っていた2人を殺害していたのだが、悲劇は小屋の中でも起きた。

 連合した後の山岳アジトでは、幹部の方針を批判したメンバーを殴打することから、リンチが始まった。「指輪をしている」「街に出た時にパーマをかけてきた」「アジトの外でキスをしていた」……。そんな理由で、リンチの対象は広がっていった。ある者は殴打のショックで死亡。ある者は極寒のアジトの外に縛られて、凍死。ある者はアイスピックで刺されて、絶命していった。死亡した者は14名に上る。殺し合いの続く山岳アジトから逃走する者もいて、最終的に残った者は、死亡者よりも少ない人数だった。

 永田洋子、森恒夫、植垣康博らは移動中に逮捕された。坂口弘、坂東國男、加藤倫教ら5人は、軽井沢にある浅間山荘に人質を取って9日間にわたり立て籠もり、包囲した機動隊に発砲した。これによって2人の機動隊員と1人の民間人が死亡している。

 永田洋子は死刑判決を受けていたが、平成23年2月5日、東京拘置所内で脳腫瘍で病死した。坂東國男は、テロ事件による超法規的処置で国外に脱出し、アラブの日本赤軍と合流し、国際指名手配されている。坂口弘は死刑判決を受け、東京拘置所に在監しているが、共犯者の坂東が逃亡しているため、死刑執行の可能性は低いと見られている。加藤倫教は、懲役13年の刑を下され、1987年に三重刑務所を出所、現在は家業の農業を継いでいる。植垣康博は、懲役20年の刑を下され、1998年に出所、現在は静岡でスナック「バロン」を経営している。結婚し、一児の父である。

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