柳美里だけではない?純文学作家たちの“生きていけない”印税年収

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『週刊SPA!』6月30日・7月7日合併号(扶桑社)の「年収500万円が最も幸せだった」特集に、作家の柳美里のインタビュー記事が掲載されている。記事では、最盛期に1億円ほどあった収入が現在は500万円程度であることが明かされた。鎌倉の一軒家を売り払い、今年4月から福島県南相馬市に移住、家賃6万円の借家住まいであるという。

 柳美里といえば、昨年10月に雑誌『創』(創出版)の連載原稿料未払いを、自身のBlogで告発したことで知られる。騒動の顛末と、ローンや公共使用料金の支払いに追われる日々を記した『貧乏の神様 芥川賞作家困窮生活記』(双葉社)を上梓したことも話題となった。

 年収500万円という数字は、世間的にみればそこそこの年収といえる。しかし、芥川賞作家であり、知名度も十分にある柳美里にしては、少なすぎる印象があるだろう。作家の収入の実態はどの程度のものだろうか。特に気になるのは若手作家だ。

「作家と呼ばれる人の平均収入から見れば、柳さんは全然高収入といえます。ごく一部のベストセラー作家を除いて、原稿料や印税収入が年間100~200万円代の若手作家はザラにいますからね。ある程度知名度があれば、講演会や大学、専門学校の講師などで食いつなげますが、若手には遠い話。貯金を切り崩し、アルバイト、実家へのパラサイト、ヒモなどをしなければ生きていけないでしょう」(出版関係者)

 また出版物の印税は定価の10%と定められているところがほとんどで、定価1500円の本が1冊売れれば作家に150円が入る仕組みだ。しかし、新人作家の場合は、10%契約となることはまずなく、ダンピングされてしまう。

 発行部数も純文学など売上が望めないものは初版3,000部からともいわれる。単純計算で、定価1500円の本が、10%の印税契約では、1冊150円×3000冊で45万円にしかならない。「夢の印税生活」からはほど遠い。

「自分の書きたいものを書いて即出版というわけにはいきません。何度も書き直しがあり、場合によってはボツもある。創作に伴う資料代や取材軽費なども新人ならば出にくい。さらに出版社と作家の関係は編集者を通したものに限定されるので、編集者との関係がこじれて、そのままフェードアウトなんて例もよくあります」(前出・同)

「いいものを書けば売れる」というきれいごとで済まされる世界ではない。作家の資質というより、むしろ、業界の構造に問題があるのではないか。

「確かに、紙の場合、編集、デザイン、印刷、流通と出版に多くの人間が関わっているのでどうしても作家の取り分は低くなります。漫画では商業出版に背を向けた同人誌活動が盛んで高収入を得ている作家もいます。小説にも同人誌はありますが、業界の規模も小さく、中には自分で掲載料を払って載せてもらうようなところもありますからね。ネットで発表する作家もいますが、現状ではお金を生み出すモデルにはなっていません」(前出・同)

 いずれにせよ、筆一本で生活していくには大変な困難が伴うようだ。
(文=平田宏利)

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