有罪率99.9%の日本で無罪を2回も勝ち取った男が語る! “ヤバすぎる”刑事裁判の舞台裏とは?

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■彼はこうしてハメられた

 無罪を争う裁判というのは、基本的に「検察VS弁護人・被告人」という構図になる。検察が調べた証拠に基づいて審理が行われ、最終的に裁判官の判断によって有罪or無罪が下される。

 さきほど「起訴されたら99.9%は有罪」という刑事裁判の実情を紹介したが、これは「検察は確実に有罪となる事件しか起訴しない」という要因が大きい。つまり、「起訴=揃えた証拠に自信あり」ということだ。

 2つの詐欺事件の実行犯はそれぞれ「後藤」「小原」という男性で、どちらの事件でも彼らの「供述」が証拠の柱となっていた。

 後藤は、一度だけ会ったことのある相手だった。内田さんは当時、ネットオークションを通じた中古車販売も行っていたが、その顧客に「トオヤマ」という人物がいた。ある日、そのトオヤマから電話があった。「ウチの社員に源泉徴収票を渡さないといけないのだが、自分は用事があって出られない。申し訳ないが、手間賃を払うので代わりに届けてくれないか」という内容だった。

 内田さんは多少訝しがったが、「車を買ってくれるかもしれない客であり、貸しを作っておいて損はない。時間もあったし、手間賃が出るなら」と、その依頼をバイト感覚で引き受けた。そしてトオヤマから封筒を受け取り、依頼の通りJR大井町駅の改札で待っていた男にそれを渡した。その男が後藤だった。

 後藤は逮捕された後、警察の取り調べに対して「街角で内田から突然声をかけられ、犯罪に誘われた。その後、複数回にわたって面談し、やり方などを指導された」と供述している。後に判明することだが、後藤は「闇バイト」を斡旋するサイトにアクセスし、犯行の指示を受けている。トオヤマはおそらくサイトの関係者で、要するに内田さんはハメられたのだ(真犯人の追及は裁判の争点ではないため、法廷では明らかにされていない)。

 もう一方の小原に至っては、まったく面識のない相手だった。後藤事件から1か月後、別の場所で小原が逮捕された。このとき小原が所持していたスマートフォンの名義人が、後藤だった。そのつながりから、警察は内田さんを黒幕と断定した。

 取り調べで小原は、「マクドナルドでフジタと名乗る人物に会い、犯行を指示された。フジタはサングラスにニット帽、口ひげという風貌だった」と供述した。そこで警察は、写真台帳と呼ばれる10名のリストを提示し、「この中にフジタはいるか?」と質問。「この人です」と小原が選んだ人物が内田さんだった

 2つの事件は、手口が同じで、スマホのつながりもある。そして、犯人が指している黒幕も同一人物。このことから警察は、後藤と小原の供述に証拠としての信憑性があると判断。検察もこれを支持し、かくして内田さんは2つの詐欺事件の首謀者として起訴されることになった。

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■“悪魔の証明”に破れ、懲役2年6か月に

 事情が入り組んでいて複雑に見える裁判だが、争点は比較的シンプルだった。すなわち、「会ったのか/会ってないのか」をめぐる争いだ。

 後藤とは確かに一度だけ会っているが、供述では“複数回”と述べられている。小原にいたっては会ってすらいない。内田さんは、「会ったとされる日のアリバイを立証する」および「二人の供述の信憑性を崩す」という2つの方向から無実を証明しようと試みた。

DSC_0026.JPG獄中で内田さんが読み込んだ膨大な資料。裁判に立ち向かうには司法を勉強する必要があった

 ところが、ここからがいばらの道だった。傍聴人である筆者の目にも、極めてずさんな裁判に映った。

 例えば、証人として法廷に呼ばれた後藤は、内田さんと会った日を「○日頃」や「犯行日の4〜5日前」といった表現で供述していた。それに対し、内田さんは「○日は池袋駅にいた」「○日はスポーツジムにいた」などと、周辺のアリバイをSuicaの履歴やジムの入退出記録などを取り寄せて訴えた。

 しかし裁判では、「証人(後藤)は“頃”と言っており、必ずしもその日だとは限らない。よって、『会ってない』とは言い切れない」という風に却下されてしまう。これには「えっ、そんな曖昧な理屈でいいの!?」と驚かされた。

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