有罪率99.9%の日本で無罪を2回も勝ち取った男が語る! “ヤバすぎる”刑事裁判の舞台裏とは?

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■誘導尋問? 疑惑の写真台帳

 また、内田さんは検察が取り揃えた証拠にも違和感を持った。そこには、警察が小原に見せた写真台帳が添付されていたのだが、10名のリストの内、口ひげが生えた人間は内田さんだけだったのだ。小原は「フジタと名乗る男」の特徴に「口ひげ」を挙げている。それに対し、9名が口ひげナシで、1名だけが口ひげアリ。これはもう、「内田を選べ」と言っているようなものである。

DSC_0023-1.jpg実際に裁判で使用された似顔絵。まったく顔の判別つかないにもかかわらず、重要証拠として扱われた

 内田さんはこれを「不公平だ」と訴えた。筆者も「いくら何でも恣意的すぎるだろ……」と思った。しかし、この主張も「小原の識別能力に疑いはないし、現に法廷でも『フジタと内田は同一人物だ』と認めている。よって、供述の信用性が大きく減殺されることはない」とあっさり突っぱねられてしまう。

 1審の裁判は、万事このような感じで進んでいった。後藤や小原の供述は「確かな証拠」として信用される一方、内田さんの反論は、いくら客観的なアリバイを持ち出しても「いなかったとは言い切れない」「だからといって会ってないことにはならない」とてんで信用してもらえない。後藤や小原の矛盾点を突いて論理的に追いつめても、「覚えてない」のひと言で振り出しに戻ってしまう……。

 裁判では、「やったこと」「いたこと」を証明するのは比較的簡単だが、「やってないこと」「いなかったこと」を立証するのは極めて難しいと言われている。これを「悪魔の証明」と呼ぶそうだが、まさにその通りだと痛感した。そして1審では、懲役2年6か月の実刑が下された。

 では、そんな裁判を内田さんはどのようにひっくり返したのか。後編では控訴審で起きた驚きの逆転劇を紹介していくが……それは決して、手放しで喜べるようなドラマではない。むしろ筆者にとっては、「冤罪事件と戦う孤独」について考えさせられる体験となった。
(取材・文=清田隆之)

【後編はコチラ

内田浩樹(うちだ・ひろき)
1976年、埼玉県生まれ。冤罪コンサルタント、ブロガー。有罪率99.9%と言われる日本の刑事裁判において、2回も無罪判決(1件は逆転無罪)を勝ち取る。その経験を活かし、刑事裁判の実態を伝えるブログを毎日更新中。冤罪に苦しむ人々の相談にも無料で応じている。
・ブログ http://gyakutenmuzai.jp/
・ツイッター @gyakutenmuzai

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