中村淳彦語る!AV、介護、ブラック企業の“ポエム問題”
AV、介護、ブラック企業を貫く“ポエム問題”をノンフィクション作家・中村淳彦が語り尽くす!!

企画AV女優のインタビュー集『名前のない女たち』シリーズ(宝島社)や『ワタミ・渡邉美樹 日本を崩壊させるブラックモンスター』(コア新書)、『崩壊する介護現場』(ベスト新書)などの著書を持つノンフィクション作家の中村淳彦。この度、新刊『AVビジネスの衝撃』(小学館新書)が7月31日に上梓された。彼が社会を見る目は冷徹で、社会の底辺であえぐ取材対象を常識とは別の角度で浮き上がらせている。今回のインタビューでは、AV業界、介護業界、ブラック企業を結ぶキーワード・“ポエム問題”を語ってもらった。
■ライターを辞めるキッカケは女優の自殺
――中村さんはライターを辞めて、先日まで介護施設の運営をされていました。詳しい経緯を教えてください。
中村 僕がライターを始めたのは96年でした。エロ本専門の弱小編プロのバイトという、出版業界の本当の最底辺からのスタートです。中堅エロ本の編集者から“君と名刺交換をしても紙の無駄”と言われるようなヒエラルキーでした。その後、着々とエロ本業界は沈み始め、ライターを辞めようと思ったのはもうエロ本がこの世からなくなるだろうって判断と、2007年7月に起こったAV女優・美咲沙耶の自殺です。
――美咲沙耶さんは確か自宅で首を吊られた…。
中村 僕は基本的に取材相手と仲良くすることはないのですが、美咲沙耶は友人でした。性格が良くて、頭のいい女の子だった。彼女が自殺して、もう、この世界はダメだと思いましたね。その諦める決心がついた時点で、今のところの僕の最高傑作である『名前のない女たち最終章』(宝島社)の取材は続いていた。ライターを辞めることは決めていたので、そのときは著作のことなんてどうでもよかった。適当に書いて楽に終わらせたかったけど、辞めると決めてから取材で現れるAV女優が“今すぐ、死にたい”と語りだす女の子ばかりになった。今思えば、異常な偶然です。もう魑魅魍魎が向こうから寄ってくるみたいな感じで、桃色まあちという女の子と一緒に自殺する予定の死に場所に行ったとき、もうこの世界にはいたくない、介護の仕事をしようと思い始めました。

――中村さんが、介護業界を選ばれた理由は?
中村 参入への壁が低くて、単純に誰もが知る高齢者需要があったから。それに介護福祉に従事するような人々は心優しい普通の人だろう、という無知な思い込みがあって、残り30年ほどの人生をつまらないかもしれないけど、小さく社会に貢献しながら平穏に生きていこうと考えていました。
――実際はどうだったんですか?
中村 一言でいえば、地獄です。介護業界の底辺さと壊れ方は、世間に“最悪”と呼ばれていたAV業界を遥かに超えるもので、こんな完全に壊れている世界があるのかと驚愕しました。簡単にいえば、日本の財政が破綻状態の中で、介護という社会保障分野は社会から弾かれた人たちのセーフティネットになっている。高齢者のためではなく、まず社会から弾かれた人々を生活保護にさせないためという受け皿になっている。経済的貧困と関係性の貧困をダブルで抱えた、社会から放り出された人間が集められて、常時不満が渦となっていてセクハラ、パワハラ、いがみ合い、奪い合い、イジメが絶対におさまることがない。それは本当に絶望的な風景です。社会が生みだしたゴミ箱に、家族が要介護状態になった親を捨てる、みたいな構造になっている。社会保障を食い潰す国や社会が消去したい人間が、国によって様々な雇用政策を発動しながら介護現場に集められている。その実態は底辺なんてものじゃない、平均年収程度は社会に貢献している人々が見ることのない底の底です。これから介護施設を利用する高齢者たちは、殺されるかもしれないと腹をくくって入居するくらいがちょうどいい。ライターを諦めて介護に落ちた後に気づいたことですが、僕は死にたいAV女優たちに導かれて、社会が消去したいゴミ箱に落ちたのだと思った。最悪の時期には“自殺”も頭に浮かんだ。そこまで精神的に追い込まれたのは、底辺の人間たちが群れて荒れ果てた介護現場の渦中で“介護ポエム”を浴び続けたからです。僕が運営していたお泊まりデイサービスという介護業態は、介護ポエムの最前線だった。頭上にポエムという弾丸が飛び交う戦場の最前線みたいな立ち位置だった。
――介護ポエムとはなんですか?
中村 経営者や業界上層部が徹底した耳障りのいい美辞麗句で介護職員や介護関係者を洗脳して、モチベーションを上げさせて奴隷労働に向かわせるみたいな人材マネジメントです。洗脳された者が、他の者を洗脳するという“貞子の呪いのビデオ”のような性格もあって、伝染するので永遠になくならない。洗脳されてモチベーションが上昇した者は同じ言葉を使って、誰かを洗脳するわけです。ポエムを発信する人、ポエムに心を動かされる人は、基本的に思考停止している。自分で考えた言葉ではなく、他人に洗脳されている人物たちなので、ある程度用語は決まっています。
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