【驚異の遺伝子学】昔セックスした男の遺伝子は女の体内に残り続ける!! Y染色体転移の恐怖とは?

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 待ちに待った産婦人科でのご懐妊の一報から、やがて生まれてくる子どもを、人は夫婦の“愛の結晶”と呼ぶ――。だが驚くなかれ、愛に満ちた“共同作業”で生まれた新たな命は、実は夫婦だけのものではないかもしれないのだ。


■マイクロキメリズムとは?

 いきなりそう切り出されてもピンとこないかもしれないので、順を追って説明せねばなるまい……。

 人間の性別を決定しているのは細胞の中にある性染色体で、男性ならXとYの染色体が並び(XY)、女性はX染色体が2つ並んでいる状態(XX)でY染色体がないことはご存知の方も多いだろう。これは現代の遺伝学の基本中の基本なのだが、実は女性の中にも血液細胞や生殖細胞の一部にY染色体を持っている人がけっこうな割合でいることが徐々にわかってきている。これはどういうことなのか。

 近年の研究によって、これは「マイクロキメリズム(microchimerism)」と呼ばれる状態であることがわかり、男児を出産した経験をもつ母親に起り得る現象であると説明されている。胎内にXYの性染色体を持つ男児を懐妊していることで、母体の側に男児のY染色体が移行したケースであり、その結果女性でありながらY染色体を持ったままその後の一生を送ることになるのだ。妊娠中、母子はお互いの遺伝子に影響を与え合っており、もちろん男児の側に母の遺伝子が移ってくることもある。

 少し前まで、このマイクロキメリズム現象によってY染色体を持つことになった女性は、男児出産経験のある女性に限ると考えられてきた。男児を懐妊するという、生体レベルで男性と“異心同体”になる経験がなければ、とてもじゃないがY染色体の移動は起らないだろうと思われてきたのも尤もなことだろう。しかしさらにサンプリング調査を重ねていくと、男児を出産した経験がない女性の血液細胞からもY染色体が発見されてくるようになったのだ。こうして事態は混迷の一途を辿る……。

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