バタフライ・ボーイ ― 全身の皮膚がズル剥ける少年、血まみれになりながら生きる

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バタフライ・ボーイ ― 全身の皮膚がズル剥ける少年、血まみれになりながら生きるの画像1画像は「Barcroft TV」より引用

 バタフライ・ボーイ――。美しい響きの呼び名とは裏腹に、生まれながらに壮絶な人生を歩んでいる14歳の少年がいる。彼の名はジョナサン・ピトレ。ジョナサン君は、2万人に1人という皮膚の難病を患い、その皮膚はまるで蝶の羽のごとくデリケート極まりない。そして、この病気の治療法は、まだ無い。


■身体の90%の皮膚が剥がれる難病

 医療情報サイト「Medical Daly」によれば、カナダのオンタリオに住むジョナサン君は、稀に見る遺伝子疾患「先天性表皮水疱症(EB)」に侵されている。彼の身体表皮の90%は水膨れに覆われ、3度熱傷と同等なのだという。皮膚が爛(ただ)れ落ちるので、ナイフやフォークを持つ、シャツのボタンを留めるといった単純な動作ひとつするにも激痛が走る。その痛みは、身体の外側に留まらない。食べ物を飲み込めば、のどの粘膜が擦れて水泡ができるのだ。

「毎日だよ。寝てる時さえ身体のどこか痛くて、たまに激痛で飛び起きることもある」と、ジョナサン君は話す。痛み以外に吐き気、頭痛にも襲われ続けており、まさに生き地獄だ。

 彼の日常は、気の遠くなるような困難に満ちている。感染予防のため、身体中を包帯でぐるぐる巻きにして生活しているのだが、一番の重労働は、この包帯を1日おきに合計3時間以上かけて取り換える作業だろう。

バタフライ・ボーイ ― 全身の皮膚がズル剥ける少年、血まみれになりながら生きるの画像2画像は「TSN Tube」より

 まず、バスタブに浸かり、お湯の中で包帯を母親にほどいてもらう。その後、水泡の1つひとつに穴を開け、中から膿を出す。傷が広がるのを抑えるためだ。最後に、新しい包帯に交換したら、モルヒネを含む4種類の薬を服用。だが、痛み止めもあまり効かないという。

 ジョナサン君本人だけではない。家族にのしかかる負担は相当なものだ。母親のティナさん(35歳)は英紙「Mirror」に対して激白する。「もちろん苦しいです。私が巻きつける包帯のせいで我が子が激痛にもがく姿を、ただ見守るしかできないんですから。息子は『もう止めて!』って叫びます。でも、母親である私は、包帯を巻く手を止めるわけにはいかないんです」。

 決して癒えることのない生傷が死ぬまで続く、途方もない病状だ。また、“死ぬまで”と書いたが、EBの平均寿命は30歳に満たない。そして、ジョナサン君の場合、医者から25歳くらいと言われており、すでに余命は11年――。

■EBの認知向上キャンペーンで親善大使に

 実は長いこと、ジョナサン君はこんな身体の人間は自分1人くらいだと思い込んでいた。ところが、2012年にトロントで行われた「EB会議」に招かれたとき、世界中に同病者がいることを知り、それが大きな転機になったと語る。「自分は一人ぼっちじゃなかったんだ」と。

バタフライ・ボーイ ― 全身の皮膚がズル剥ける少年、血まみれになりながら生きるの画像3インタビューに応えるジョナサン君 画像は「TSN Tube」より

 そして、彼の快進撃が始まった。2014年10月には自身の傷を公にし、EBの認知向上キャンペーンに乗り出した。今ではEBの慈善団体「デボラ」のアンバサダー(親善大使)を務めるまでになり、すでに日本円で770万円以上の寄付を集め、EB治療の研究費用に充てている。

 この9月、ジョナサン君はアラスカへオーロラを見るため旅立つ。オーロラの踊るような光は、EBで亡くなった友だちの化身のように感じるのだという。

「(バタフライ・チルドレンと呼ばれることについて)蝶々っていうから、はかなげに見えるのかもしれない。でも、ボクらは戦士のハートを持ってるんだ。見かけよりずっと強いんだよ」(カナダのスポーツ専門TV局TSNのインタビューより)

 難病と呼ばれるものは数多くあるが、ジョナサン君の勇気が絶えることのないよう、なんとかEBの治療法が見つかってくれることを願ってやまない。
(文=佐藤Kay)

参考:「Medical Daily」、「Mirror」、ほか

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