“個”の時代が生み出した「巨大な置物」、マツコ・デラックスの魅力と本当のスゴさとは!?

「テレビってのは映画と違って茶の間に入っていくんだと。のれんをそっと開けて、『おじゃまします』って入ってけって。それがテレビというもんだってボクらは教わったんですよ、テレビの初期に。今は全然ちがうでしょ。そこが大間違いしちゃってるとこだと思うな」

 今のテレビは孤独を防ぐ装置だと私は思っている。ちょっと前までは、ひな壇があって、芸人たちが楽しそうにわちゃわちゃやっているのを見て、疑似的に部屋にいる“個”の私も楽しい気分でいることができた。ところが、時が経つにつれ、笑った後の自分に言いようのない孤独感が襲いかかるようになっていった。そんなときにマイノリティの世界から現れたのが、マツコだった。

 マツコはどんなときも強いものより弱いもの、多数派よりも少数派に寄り添う。だからこそ、ひとりでテレビを見ている私たちの味方をしてくれるように見えるのだ。座りのいい置物は今日も孤独な私たちのために、吠えてくれる。そして、私たちの存在を認めてくれる。個の時代が終わらない限り、マツコがテレビの世界から消えることはないだろう。
(文=加藤宏和)

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