目をえぐり出し、内臓を食す…!! 身長47cmの小人が演じるカルト映画『ラットマン』の恐怖

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――絶滅映像作品の収集に命を懸ける男・天野ミチヒロが、ツッコミどころ満載の封印映画をメッタ斬り!

目をえぐり出し、内臓を食す…!! 身長47cmの小人が演じるカルト映画『ラットマン』の恐怖の画像1

今回の映画『ラットマン』

 今年9月3日、身長54.6センチで「史上最も身長の低い男性」(18歳以上)としてギネス世界記録に認定されていたネパールのチャンドラ・バハドゥル・ダンギ氏が死去した(享年75歳)。

 このニュースを聞いてカルト映画好きなら思い出されるのが、1990年代に「世界一小さい男」として有名だったネルソン・デ・ラ・ロッサ主演の『ラットマン』だ。この作品はもともと1988年にイタリアで製作されていた低予算映画で、それをゲテモノ映画の配給で有名なアルバトロス・フィルム(2001年の『アメリ』が大当たり)が買い付け、1998年にビデオリリース。だが、それを最後に封印されたままとなっている。

 ラットマンを直訳すれば、「鼠人間、鼠男」だが、『ゲゲゲの鬼太郎』のねずみ男とはまったく違っており、中米のマッドサイエンシストがネズミの精子をサルの卵子に結合させて生み出した遺伝子操作生物(ネズミザルって実在するけどね)。その容姿は、ネルソンに牙の入れ歯と作り物の爪を装着させて一丁上がり! という簡単なシロモノ。

■ラットマンの驚異(!?)のスペック

 劇中で博士に言わせると、「爪と牙に強い毒があり、一瞬にして人を死に至らしめる。ネズミの本能とサルの知能を持ち合わせ、罠にも引っかからず、10キロ先の人間に感づく嗅覚を持つ。1年に200匹の子を産む」だそうだ。さらにビデオジャケットの裏表紙には、こんなラットマンのスペックが掲載されている。

「ラットマンデータ」
身長47センチ/体重9.5キロ/1日に食べる量 りんご2個分/ペニス 1.5センチ/ジャンプ力 3メートル/100メートル走 55秒

 いらない情報も散見されるが(笑)、主役のネルソン・デ・ラ・ロッサについても、ビデオジャケットの背表紙という狭いスペースに、小さな文字でビッシリ書き込まれている。

 1963年中米ドミニカ共和国生まれ。1990年「世界一小さい男」に認定され、以後ギネスブックに掲載される。物心ついた時からサーカスの団員として活躍中、イタリアでスカウトされる。イタリア映画『ラットマン』で衝撃のデビュー。その後、ハリウッドに招かれ、1996年ジョン・フランケンハイマー監督作品『D.N.A.』にて主演マーロン・ブランドの息子役を好演。1997年結婚、「世界一身長差があるカップル」として今年よりギネスブックに掲載される予定。

 この頃のアルバトロスのビデオ販促には鬼気迫るものがあり、全国のレンタル店にはラットマン店内シールやラットマン等身大ポスターが大量配布され、キャッチコピーにも「変態指数500%!!!!!」「世紀末、奇形人間誕生!! これは人間なのか?」なんて凄まじい文言が並んでいた。

 脚本のデヴィッド・パーカー・JRは、『ビヨンド』(80年)、『地獄の門』(80年)などルチオ・フルチ作品の常連で、アンソニー・M・ドーソン『地獄の謝肉祭』(80年)、ダリオ・アルジェント『わたしは目撃者』(70年)、マリオ・バーヴァ『血みどろの入江』(70年)など、錚々たるイタリアB級ホラー&アクション映画を手がけた売れっ子作家だ。なのだが、『ラットマン』のストーリーはあってないようなもので、ラットマンが人を殺すシーンのみ見ればOKみたいなもの。一応、あらすじを書いておこう。

■あらすじ■

 カリブ海の島(ロケ地はドミニカ)にある、ホームレスが住んでいそうな廃屋の一室(助手と博士のふたりだけで、衛生環境も何もない廃屋での遺伝子操作実験って、メッチャ危ないぞ!)。無造作に床に置かれている実験動物が入った飼育ゲージや鳥かごがあり、そのひとつに掛けてあった布を博士がめくると、なんとそこにラットマンが!! このシーンを、予備知識なしでいきなり見たら衝撃必至。特撮ではなく、猫ほどのサイズの本物の人間が鳥カゴの中で動いているのだから。

 その後、ラットマンは鳥カゴから脱走し、村の少女を立て続けに3人殺害。信心深い村では神罰と恐れ、全員退去してゴーストタウンに。そこへニューヨークからグラビア撮影隊やミステリー作家が訪れるが、次々と「キィ~ッ! キィ~ッ!」と鳴くラットマンの餌食になっていく。ラットマンはクローゼットの中、冷蔵庫の中、そして便器の中からと神出鬼没で、顔面を引っ掻き、噛みつき、また毒殺するのだ。特に博士の助手の殺され方は酷かった。ラットマンは爪で彼らの両目を潰し、その内臓をインド人がカレーを食べるように右手で摘まんで口に運んだのだ。

 また、すでに国内外の人間が何人も殺されているのに、常に「変質者の仕業だ」と決めつけ、鑑識も検死も何ひとつまともにできないドミニカ警察(架空の国ということになってはいるが)の無能ぶりには苦笑するしかない。

 最後は、この島で行方不明になったグラドルの妹を捜しにきた姉が、遺品のバッグだけ受け取りニューヨークへ帰る。だが機内へ運び込まれるバッグの中から、かすかに「キィキィ」という声が…。機体が離陸すると間もなく、中から聞こえる乗客たちの悲鳴で完。

 ネルソンは、飛行機に乗ると発着時の気圧の変化に耐えられない(鼓膜が破れるなど)体質の持ち主だった。撮影当時は自国ドミニカで撮影をしたので問題なかったが、1998年にテレビ番組『世界ビックリ人間』の出演や『ラットマン』のビデオ販促のために来日している。そして、この半年後に急逝した。当時ネルソンを日本に呼んだアルバトロスの叶井俊太郎氏(現、映画配給会社トランスフォーマーのプロデューサーで漫画家・倉田真由美の旦那)は、日本に無理に来てもらって体調を崩したのではないかと責任を感じているという。

『ラットマン』
1988年イタリア製作
監督/アンソニー・アスコット
出演/ネルソン・デ・ラ・ロッサ、ディヴィッド・ワーベック、ジャネット・アグレンほか

■天野ミチヒロ
1960年東京出身。UMA(未確認生物)研究家。キングギドラやガラモンなどをこよなく愛す昭和怪獣マニア。趣味は、怪獣フィギュアと絶滅映像作品の収集。総合格闘技道場「ファイト ネス」所属。著書に『放送禁止映像大全』(文春文庫)、『未確認生物学!』(メディアファクトリー)、『本当にいる世界の未知生物 (UMA)案内』(笠倉出版)など。新刊に、『蘇る封印映像』(宝島社)がある。
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