【宇宙人特集】「宇宙人解剖フィルム」がUFO神話に死亡宣告をした――『UFOとポストモダン』に書かれた、宇宙人論の悲しい矛盾

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1204ufotopo_sub02.jpg※イメージ画像:Thinkstockより

“これらの偽装文書や映像の重要な特徴は、一般に認められている公式・正式な文書や映像に紛れ込んだノイズ的な要素――誤報、ミス、偶然の欠番――から派生しているということです”(p.123)

 単なる撮影機材の故障でも、心霊番組ならば霊のしわざとなってしまうように、UFO・宇宙人が絡めば過剰な意味を見いだしてしまう。

 断片的な情報が無数にあふれる社会において、関係のない情報を結びつけ「風が吹けば桶屋が儲かる」的な言説を紡ぎだすことは容易い。いざとなれば、論理の飛躍を許容(歓迎)する、超科学的なものが超自然・超精神へと転化したニューエイジ思想を使えばいい。UFO神話は論破されず、反論も機能しない、アンタッチャブルな存在となる。

「第4章 ポストUFO神話(1995~)」では、インターネット時代のUFO神話が取り上げられる。冒頭で言及されるのが、1995年に登場した「宇宙人解剖フィルム」である。アメリカで放送され、大反響を呼び日本でも放送された。

 フィルムは、1947年にUFOが墜落したロズウェル事件で回収された宇宙人の遺体を解剖するというふれこみだ。だが、内容はすべてがフェイク(偽物)であった。宇宙人の姿形、スタッフの格好、解剖手法、使用用具に至るまで時代考証が完璧になされたオタク的な作りのフィルムでしかなかった。ご丁寧にも、フィルムの一部には撮影年に製造されたコダック社フィルムも使われており、これが本物とされる理由のひとつとなった。“あったとされる陰謀・神話”を補完、増強するはずの情報の集積が“本物のような嘘”を作り上げてしまったのである。筆者は「宇宙人解剖フィルム」によって後期UFO神話が“自らに死亡宣告をした”と指摘する(p.141)

 その後、後期UFO神話はゾンビ化し、ポストUFO神話へとつながる。自らの存在をおびやかす不気味な存在(エイリアン)はあらゆる場所に出現するようになる。本書では、環境ホルモン、Y2K(コンピューターの2000年問題)、スカイフィッシュ、アポロの月面着陸はなかった論、911テロなどが取り上げられていく。

 環境ホルモンがもたらす生殖ダメージは、グレイ型宇宙人の実験そのものだ。Y2Kがもたらす(とされた)終末のを招くカタストロフは、コンピューターに内蔵される内なるバグがもたらす恐怖である。これもアブダクティにおいて宇宙人が体内にチップを埋め込むイメージと重なる。スカイフィッシュは実際は存在しない生物であり、自らの存在をおびやかす見えない対象への戦慄は9.11以降続くテロの恐怖とも重なる。かつて、UFO神話上に存在した核戦争の恐怖、異星人侵略の恐怖が、現在はテロの恐怖に取って代わられているのだ。

 こうして見ると、空飛ぶ円盤/UFO・宇宙人/異星人像の変遷は、時代ごとの社会状況と、それに影響を受けた人間の素朴な心理の反映でしかないことがわかる。最初は理想の未来像を託したかと思えば、悪や陰謀の象徴に簡単にすげ替えてしまう。そこに、浮き彫りになるのは人間のエゴイズムである。
(文=王城つぐ/メディア文化史研究)

コメント

1:匿名 2015年12月7日 18:22 | 返信

本の宣伝記事である事を明示しとかないとw
タイトルに[PR]もしくは[広告]ってつけといてもらった方が助かる。

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