【閲覧注意】難民キャンプの前に置かれた14の頭部 ― 過激化する難民受け入れ反対運動

関連キーワード:

,

,

,

,

,

,

※2ページ目に刺激的な画像を掲載しています。閲覧は自己責任でお願いします。

※1ページ目までは、この事件の背景にある、難民受け入れをめぐるオランダの対応と住民の抗議をまとめています。また、アメリカ在住のイスラム教徒たちに直接取材した「移民の思いとヨーロッパ難民受け入れに対する意見」も掲載しています

【閲覧注意】難民キャンプの前に置かれた14の頭部 ― 過激化する難民受け入れ反対運動の画像1画像は、シリア難民「geographyeducation」より

 止むことのない内戦や無差別テロなどの殺戮行為によって祖国を追われた人々の数は今年だけでも約92万人と言われている。ヨーロッパでは難民を率先して受け入れているが、すべての国民が難民を歓迎しているわけではない。11月25日付の「This Is England」と「NL Times」が身の毛もよだつような事件を報じている。


■怒りの矛先はどこへ向けられているのか? 残虐な行為の現場を見る!

 オランダ東部に位置するオーファーアイセル州にあるエンスヘーデという町からそう遠くないエスチマーカヴェルドという地の難民キャンプ入り口に、14もの数の豚の頭部が置き去りにされていた。さらに、同じ場所から豚のものと見られる大量の血液が入ったビニール袋も見つかっている。犯人は逮捕に至っていないが、難民受け入れに対する抗議団体の犯行と見られる。

 オランダのテレビ局「RTV」によれば、この無気味な現場は地元警察によって発見されたが、警察の報道官は現在、難民や移民に対して直接の脅迫などはなく、今回のこの恐ろしい行為についても責任を追及すべきだという声は挙がっていないと述べている。

■なぜ豚だったのか?

【閲覧注意】難民キャンプの前に置かれた14の頭部 ― 過激化する難民受け入れ反対運動の画像2画像は、Thinkstockより

 豚はイスラム教では最も不浄な物(ナジス)とされ、食べることはもちろん、その成分が含まれている医薬品や化粧品なども販売が厳しく禁止されている。また豚は不潔で家畜として価値が低く、強い繁殖力が禁欲的なイスラム教の教義に反するという、豚にとっては何とも迷惑な理由で忌み嫌われていることから、その頭を複数ばら撒くことで、住民がどれほど難民受け入れに反対しているのかを知らしめたのだという意見もあるようだ。

 先月25日の朝に起きたこの事件は瞬く間にネット上で拡散されたが、その様子は豚の頭で無気味に飾られた野原の画像に加えて「もしも民主主義が失墜すれば人々は怒りに震え、絶望するだろう。ようこそ地獄のエスチマーカヴェルドへ」というメッセージが添えられていた。

 地元メディアは、このむごたらしいメッセージは難民だけでなく、9月に地元住民の反対を押し切って難民用の施設を設置した政府に向けてのメッセージでもあると見解を示している。

 地元住民たちが難民キャンプ設置の決定前に「断固反対する」とした原因のひとつに、治安の悪化が挙げられた。しかしながら自治体は、住民たちによる大規模な抗議があったにもかかわらず、それを無視してキャンプ設置を決定したのだ。

 警察の報道官はこれに関して、環境犯罪であり回収された豚の耳に残されたタグから情報を得て犯人を追跡するつもりであることを公表した。

 今年9月、オランダは欧州連合の政策執行機関である欧州委員会により、EU全域に難民を移住させるという新しい計画に賛同し、さらに7千人の難民を受け入れることを決断している。

【閲覧注意】難民キャンプの前に置かれた14の頭部 ― 過激化する難民受け入れ反対運動の画像3画像は、Thinkstockより

■難民と政府の間で揺れる地元住民の想いとは?

 ネット上の動画共有サイトに投稿された映像の中で、地元住民であろう人物の声を聞くことができる。難民キャンプについて、そしてそれを設置した政府に対しての意見のようだ。ある男性は「私たちはこの状況をこれ以上、許すわけにはいかないんだ」と訴える。また別の男性は特に驚いた様子もなく豚の頭を持ち上げる。「このことに関してあなたはどう考えるか」という問いに「何かしら行動を起こさなくてはね」と豚の頭を置いたことを批判しなかった。

 このニュースに関する、海外の人々の反応はこうだ。

「ブラボー! 君たち(オランダ)の文化のために立ち上がれ!」
「素晴らしい! とても独創的だね。でも食物を無駄にするのは嫌だな。 豚はもっと有効な目的のために死ぬべきだ」
「私たち、一人ひとりが豚を育てることをおすすめするわ」
「これをモスク(イスラム教の礼拝堂)の前でもやるべきだ」

 ……と、穏やかとは言いがたい書き込みが多く見られた。

 このコメントを裏付けるように、オランダでは昨年1年間で人種差別が関係した事件が4092件報告されているとアンネ・フランク財団が調査結果を発表した。中でもイスラム教徒に対する人種差別を含む事件は前年と比べると50%増加という驚異の結果であった。

 愚かな争いによって生まれ育った国を追われる人々の不安は計り知れないが、難民を装い他国に侵入する犯罪者たちが存在することも事実だ。自国民の安全確保と難民の受け入れをどのように実現させるかが各国のこれからの課題となるだろう。


【番外編】アメリカ在住の筆者が聞いた、イスラム教徒の想いとは? 3人の男性に取材

 言わずと知れた移民大国のアメリカだが、2001年の同時多発テロ以降はイスラム教徒にとって試練の連続であることはご存知の方も多いだろう。そして現在も続くイスラム過激派のテロ行為やそれにより祖国を追われた人々について、アメリカ在住のイスラム教徒の人々に取材を試みたがこれがなかなか難航したのだ。

 筆者の知人やその紹介などで複数のイスラム教を信仰する移民の方々に取材を依頼したのだが、ほとんどの人が「いくら海外のメディアといえど、どこで誰が見聞きしているかわからない」と難色を示し、また先月13日に130名の死者を出したパリ同時多発テロがあったからか「今は祖国やテロ、難民については口を開きたくない」と断られてしまった。

 途方にくれていると、近所に住んでいるイスラム教徒の家族が親族の数人とその友人を紹介してくれた。写真を一切撮らないこと、そして年齢と、イニシャルであっても名前を出さないことを条件に3人の男性が取材に応じてくれた。

Q:現在、シリアを中心に外国への避難が目立つがどう思うか
Aさん:諸外国でいろいろな噂を聞くが、たどり着いた国に貢献するべきだ。
Bさん:たくさんの人が国を去った一方で、どれだけの人が命を落としたのかと思うと悲しい。
Cさん:容易ではないが、難民として受け入れるのではなく、彼らが祖国で暮らせるように外国の政府が助けられればそれが1番だと思う。

Q:2001年以降、そしてここ数年のテロ行為、また先月のパリ同時多発テロなどで暮らしはどのように変わったか
Aさん:自営業なのでテロ行為が報道されるごとに売り上げが落ちたりするが、911の時に比べればその被害は少ない。
Bさん:家族や知人はあまり変化はないが、買い物や外出に行くとあからさまに悪意のある視線を感じることがある。
Cさん:自身は変わらないが、子どもが学校でいじめられることが多く辛い思いをさせてしまっている。

Q:ヨーロッパのように、多くの難民がアメリカに入国したらどう思うか?
Aさん:来ないでほしい。私は長い年月をかけて地道に今の信頼関係を築いた。彼らが押し寄せてくることで、それが一瞬にして崩れてしまう気がする。
Bさん:私たちのようにアメリカに長く暮らす移民は税金を納め、法を守り、この国の一員として暮らしている。言葉も話せず、働けない人々が侵入してきたらどうなると思いますか? 同胞だけれど「さあ、いらっしゃい」とは言えない。
Cさん:彼らと同じように、私だってこの地を追われたら他に行く場所はないのです。できるだけ多くの人に幸せになってほしいと願うばかりです。

 と、3人ともアメリカが難民を受け入れることには賛成とは言い切れないようだ。しかし、今回はたった3人にしか話を聞けなかっただけで、3人とは正反対の考えを持つ人もいるはずである。日々、世界中で起こっているテロ行為とそれに対する報復という連鎖が続く限り、人々の苦悩も続くのだろう。
(文=清水ミロ)

参考:「This Is England」、「NL Times」ほか

【閲覧注意】難民キャンプの前に置かれた14の頭部 ― 過激化する難民受け入れ反対運動のページです。などの最新ニュースは知的好奇心を刺激するニュースを配信するTOCANAで