エレファントマン化する奇病「プロテウス症候群」
“エレファントマン”化する奇病「プロテウス症候群」に立ち向かう少女の絶え間なく膨らむ頭と足…
現在、地球上には約73億もの人間が生活しているといわれているが、全員が健康に暮らしているわけではない。人類はさまざまな病に悩まされ、そのたびに原因と治療法を模索してきた。しかし、これだけ医学が進歩してもいまだ奇病に苦しむ人たちは少なくない。今回は3月24日付の「Daily Mail」で報じられた、世界にたった数百しか症例のない病に冒された少女をご紹介したい。
■変わってゆく体! 支えがなくては暮らして行けない…
オーストラリアの北東部に位置するバンダバーグ在住のトリ・パンチさん(13歳)は、頭部や足が不自然なまでに長く、自力では歩けないため車椅子に頼って生活している。額から上の部分が異様なまでに肥大し、足は不自然な角度に曲がっているのだ。

トリさんを幼い頃から苦しめている病は、1980年に公開され話題となった「エレファントマン」の主人公、ジョセフ・メリックが患っていたとされる「プロテウス症候群」だ。
トリさんは生後18カ月頃に自力で立ち上がることができなくなり、7歳時には精神遅滞も見られるようになった。母親のウェンディさんは、トリさんの病状が悪化しはじめると同時に仕事を辞め、娘の世話をはじめた。現在は腕にもその症状が出はじめ、従来の車椅子を自分で動かすことができなくなったと同時に、足の裏には腫瘍が増殖しているために靴も履けなくなってしまった。ウェンディさんはそんなトリさんにつきっきりで世話を続けている。
■体が曲がる!? 肥大が止まらない!プロテウス症候群とは?
以前の記事でもお伝えしたことがあるプロテウス症候群だが、現在もその原因と治療の究明が続いている。世界でも症例が少ないといわれているが、その中でもジョセフ・メリックは他の症例に比べても極めて重症だとされている。彼は皮膚の神経線維腫症や背骨が曲がってしまう脊椎側わん症も患っており、当時は見世物小屋で働き「エレファントマン」と名づけられる程の外見に苦しめられていた。
ではプロテウス症候群とは一体どのような病気なのか。
生物の体内にある細胞の増殖や生存の調整を行うAKTという遺伝子があるが、その中のガン遺伝子としても知られるAKT1という遺伝子の突然変異がプロテウス症候群を引き起こすのではないかと考えられている。主な症状としては、手足の巨大発育や四肢非対称、血管腫、脂肪腫、巨頭の他にも精神遅滞など、この他にもいくつかの症状が挙げられるが、すべての患者が同様に発症するわけではなく、人によって複数の症状を併せ持っていたりとさまざまである。トリさんはこの中の手足の巨大発育と四肢非対称、巨頭と精神遅滞に当てはまるのではないだろうか。
■ショッキングな診断、進行し続ける病に立ち向かう!!
ウェンディさんはトリさんの妊娠中にこの病名を聞いた時、プロテウス症候群のことはまったく知らず、担当医からの説明を受け、絶望的な気持ちになったと語っている。
「妊娠3カ月の頃、トリの脳に液体が溜まっていると言われ、さらにダウン症だとわかったのですが、生まれた時のトリは健康そのものでした。ですがトリが1人で立つようになると足の異常に気付き、病気を疑うようになりました」(母のウェンディさん)
一家はブリスベンにある病院を紹介され、そこでトリさんはプロテウス症候群を患っていると知らされた。トリさんはこれまでに複数の手術に耐えているが、その中には組織の異常増殖による腫瘍が大きく膨れ上がり、重なり合うように変形してしまった足指を引き離して元に戻すという手術も含まれている。しかし一度は以前のように戻った足指も、わずか半年足らずで再び手術前と同様に膨れ上がり、現在も不自然な角度に大きく肥大し続けているという。
またトリさんの卵巣の1つは液状成分が溜まって腫れてしまう卵巣のう腫が見つかったため既に摘出されており、残りの1つも今年の末に摘出が決まっている。現在、トリさんは頭部も肥大し続け、足の裏は複数の腫瘍が増殖しており、特に足は痛みを伴うために生活を一層困難なものにしているようだ。
これまでもジョセフ・メリックの遺骨を分析し、その特異な病を解明しようと研究者たちが幾度となく調査を重ねたが、DNAの劣化が激しく望むような結果が得られなかった。しかし近いうちにロンドン大学や自然博物館に所属する遺伝学者のチームが、新たにメリックの骨からDNAを抽出し、最新技術を駆使してプロテウス症候群をさらに詳しく調査するということだ。
プロテウス症候群はその見た目から、患者が精神的苦痛を負うことは容易に想像できる。しかし現代の技術で少しずつではあるが、その仕組みが解明されているのも忘れてはならない。13歳とまだ若く、ビデオゲームやアイドルのテレビ番組が大好きなトリさんが、いつか自らの足で歩くことができるよう心から願うばかりである。
(文=清水ミロ)
参考:「Daily Mail」、ほか
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