レメディオス・バロ/暗闇と夢と魔術の芸術家 ― ビョークやマドンナも陶酔する美人シュルレアリストの真実

■魔術と夢

 バロは魔術の存在を信じていた。これは各種の文献からしても間違いのないことだ。そして、夢には隠された意味があること、それを解釈して作品とすること。これが、彼女のシュルレアリストとしての表現手法になった。

レメディオス・バロ/暗闇と夢と魔術の芸術家 ― ビョークやマドンナも陶酔する美人シュルレアリストの真実の画像5Remedios Varo: Tejido espacio-tiempo (1954) 画像は「remedios-varo.com」より引用

 具体的には、1954年に制作された“Tejido espacio-tiempo(編まれた時空)”から、夢の記述が反映された魔術的幻想物語を描きはじめている。

 レメディオス・バロの物語性を強く感じる作品には、いくつかの代表的モチーフがある。もちろんそのモチーフの出典はバロの見た夢だ。

レメディオス・バロ/暗闇と夢と魔術の芸術家 ― ビョークやマドンナも陶酔する美人シュルレアリストの真実の画像6Remedios Varo: Los ancestros o Poema (1956) 画像は「remedios-varo.com」より引用

 ひとつは「編み物」。“Los ancestros o Poema(先祖たちまたは詩)”(1956)や“Les feuilles mortes(枯葉)”(1956)をはじめとする多くの作品に形を変え、繰り返し現れる。

レメディオス・バロ/暗闇と夢と魔術の芸術家 ― ビョークやマドンナも陶酔する美人シュルレアリストの真実の画像7Remedios Varo: Transito en espiral (1962) 画像は「Epsilones」より引用

 そして「不思議な乗り物」。“Transito en espiral(螺旋の運航)”(1962)をはじめ、こちらも多くの作品で繰り返し描かれている。

 このようにバロは、夢で見たいくつかのモチーフを形を変えながら繰り返し用いている。モチーフの遍歴については、1994年にバロのカタログ・レゾネ(フランス語で作品目録の意味)の決定版が出版されているため、興味のある読者はぜひとも入手して年代を追って確認してみることをおすすめしたい。魔術、そして夢を描く――それこそが、波乱万丈な人生を送ったバロが到達したシュルレアリスムだったのだ。

レメディオス・バロ/暗闇と夢と魔術の芸術家 ― ビョークやマドンナも陶酔する美人シュルレアリストの真実の画像8

天川智也(あまかわ・ともや)

1980年生まれ。早稲田大学仏文科卒業。古今東西の奇書を求めて日々奔走している。おもな作品にNHKドラマ『ルームシェアの女』(フランス語作詞)等がある。個人サイト:http://tomoyaamakawa.com/

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