ある被差別部落のリベンジ ― 少年の痛ましいリンチ死が呼んだレイプ、火付け、強盗

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 佐藤さんはお茶を濁してはいたものの、郷土資料などを確認する限り、そのY集落は、いわゆる被差別部落であり、詳細については不明ながらも、長年に渡って周囲から絶えず白い目で見られたり、理不尽な目に遭わされてきたりしたようだ。しかしそれでも彼らは耐え忍ぶだけで、周囲に対して抗う様子を見せずに暮らしていたが、そんな矢先に、Y集落の子どもがリンチ死ともいうべき状況で発見される。これで彼らの怒りに火がつき、以後、彼らが暴徒と化していくこととなった。


「まず、若い娘たちが犯されるという事件が立て続けに起きました。上は20代前半の若い奥さんから、下はまだ小学校に通い始めたくらいの幼い子どもたちまで…。しかもそれで終わることはなくて、納屋に火を付けられたり、牛や豚を殺されたり、年寄りの家に押し込み強盗に入ったりと、もうあの辺り全体が無法地帯になってしまったんですよ。けれども、犯人がY集落の人間だというだけで、警察は動かない。役場の人も議員さんも動かない。みんな見て見ぬフリなんです」


 佐藤さんの話では、そのY集落発と思しき暴徒たちの蛮行は、それから10年近くも続いた。その間、佐藤さんら近隣地域の人々は、それまでのY集落の人々と入れ替わるように、ひたすら耐え忍び、怯えるだけの時間を過ごしていたという。


「もともと身から出た錆といってしまえばそれまでですが、差別っていうのは、受ける側だけじゃなくて、する側にも災いをもたらすものだということ、わかってほしいですね」


 集団レイプ軍団が最後に活動を行ってから既に数十年の時が流れているが、それでもなお、世界全体で見れば実に様々な差別が存在している。こうした人々の抱える愚かな想いが、さらなる悲劇を生まぬよう、現代に暮らす我々には、より一層の努力が求められていると言えるかもしれない。
(取材・文=戸叶和男)

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